1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

勝負師たちの系譜 藤井聡太竜王に挑む佐々木勇気八段の強み モンスターでなく人間的な弱さも持っていることを知った、数少ない棋士

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月24日 15時0分

藤井竜王に挑む佐々木八段(夕刊フジ)

藤井聡太竜王への挑戦者を決める決勝三番勝負は、広瀬章人九段と佐々木勇気八段とで争われた。

広瀬は1組の予選では4位。佐々木は2組で優勝しての本線出場だった。

広瀬は1組優勝の山崎隆之八段を破って、三番勝負進出。

対する佐々木は決勝トーナメントで、久保利明九段、佐藤康光九段を破っての進出だった。

竜王戦の優勝賞金は、4400万円と将棋界最高で、挑戦者になるだけでも、他の棋戦のタイトル獲得金額に相当すると言われている。

三番勝負の第1局は佐々木の先手で、角換わり腰掛銀に誘導。後手の広瀬が先に銀をぶつけて開戦となった。

その将棋は何局も実戦例があり、どちらが深く研究しているかで勝敗が決まると言われていた。広瀬に「研究が足りなかった」と言わせるほど、佐々木の研究が上回っていたようだ。

もちろん、研究だけで勝てるほど将棋は甘くなく、良くなってから勝ち切る実力が必要だ。

佐々木は相手陣に的確に迫りつつ、受けの妙技も見せて快勝した。

続く第2局は、広瀬が相掛かりからお互いの玉が中住まい(中央にいる形)のまま戦う、乱戦に誘導した。

そして端からうまく戦機を掴(つか)んだ広瀬が、優勢から勝勢を築いた。

しかし広瀬はどう勝つか迷った揚げ句、単純に飛車を取りに行く手などを逃し、さらにハッキリ勝ちになった後も、包み込む寄せをやらず、焦って駒を渡す寄せで、逆転負けを喫した。

研究だけでなく、悪い将棋でも粘って逆転できる、佐々木の長所が出た三番勝負だった。

これで佐々木のタイトル戦初挑戦が決まり、藤井に挑むことになる。佐々木にしてみれば初のタイトル戦という緊張と、竜王というタイトルの重み、そして藤井という王者と指す、何重もの相手と戦うことになるが、佐々木にとっては強みもあるのだ。

それは過去、藤井のデビューからの連勝を止めたこと。そして前期NHK杯の決勝で藤井を精神的にも追い込み、藤井がモンスターでなく、人間的な弱さも持っていることを知った、数少ない棋士ということだ。

また、すでに追い越された棋士ではなく、歳は上でも、追いかける存在であることなど。

今までと違った勝負が見られるだろう七番勝負は、10月5、6日、東京・渋谷の「セルリアンタワー能楽堂」から始まる。

■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください