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お金は知っている 石破首相「成長派」への変身は本物か 岸田前政権の戦略継承、財政出動へ官僚の圧力はね返せるか 長年、反アベノミクスの言動も

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月4日 6時30分

石破茂政権がスタートした。経済政策では脱デフレ完遂を掲げ、岸田文雄前政権の成長戦略を継承するという。長年、反アベノミクスの言動を繰り返してきた石破さんの成長派への変身は本物なのだろうか。

まずは、筆者と石破さんの間の秘話を紹介しよう。2012年9月の自民党総裁選の数カ月前、筆者は東京都内で石破さんに会い、脱デフレ策を進言したが、石破さんは一蹴した。有権者は物価の下落を歓迎し、上昇にはノーだから、まずいというのだ。そこで、拙論は日本型デフレとは物価下落以上の幅で賃金が下がる、つまり実質賃金が下がるので、有権者のためにはならないと説明したが無駄だった。総裁選では脱デフレを掲げた安倍晋三元首相に敗れた。

そして14年1月、ある勉強会で石破さんと同席した。石破さんは聴衆の前で「あのとき、田村さんの提言を受け入れればよかった」とスピーチしたのには、少なからず感心させられた。

ところが石破さんはその後、いつの間にかアベノミクスの批判に終始するようになった。財政出動に否定的で、日銀の異次元金融緩和を厳しく批判するのだ。

そして、今年8月下旬。石破さんのブレーンから突如、経済問題で助言を依頼された。石破さんは産経新聞や本欄など拙論に目を通しているとも聞かされた。ならば、とA4判で1枚程度のメモを送付した。要点は、脱デフレ、財政出動、実質可処分所得の引き上げ、家計消費の拡大、税収増の民間への全面還元、日銀利上げの凍結などの提言である。

ブレーンからは「石破さんはしっかりと読んでいます」との返事。他の識者などからも提案があるだろうから、拙メモがどの程度役立ったかは知る由もないが、9月に入ると、石破さんの発言が変わってきた。「財政出動なければ経済が持たない」「税増収分の防衛費や少子化対策への充当」「最低賃金の引き上げ」と言い出した。9月27日の総裁選勝利後の会見では「デフレからの脱却を完全なものにする」、「物価上昇を上回る賃金上昇」「海外の生産拠点の国内回帰」を強調した。そして、石破政権の経済財政・再生相に就任した赤沢亮正さんが日銀利上げに慎重さを求めたのは、まさに正解だ。

だが、石破政権の本気度が試されるのは、財政にある。緊縮財政至上主義の財務官僚の執念はすさまじい。某財務省大物OBは岸田前政権について、「史上最悪のバラマキを行った。安倍政権のほうがまだましだった」と憤懣(ふんまん)やる方ない。電気・ガス料金補助、定額減税などをやり玉に挙げるのだが、メディアなどから「増税メガネ」と揶揄(やゆ)された岸田さんにとってみれば、心外もいいところだろう。

岸田前政権のもと基礎的財政収支(プライマリーバランス)が大幅に改善し、来年度は黒字化が確実になっている。財務省はそんなことには満足せず、さらなる緊縮財政と増税を石破政権に仕込む魂胆だろう。石破さんは、財務官僚の圧力をはね返せるだろうか。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

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