バズる関西トレンド 大阪下町の「たこ焼 たこば」創作メニューが大ヒット 「粉もん屋が適正価格で商売できるよう価値を上げていきたい」
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月26日 15時30分
大阪のソウルフードといえば、お好み焼きとたこ焼き。家庭によっても店によっても味や具材、焼き方がさまざまで、庶民の味ながらけっこう奥が深い。
大阪人のみならず、全国からファンが立ち寄るたこ焼き店がある。阪急京都線上新庄駅から徒歩約13分。時間がかかってでもわざわざ行きたい店のひとつにあげられるのが「たこ焼 たこば」(大阪市東淀川区)だ。行列ができる日も多く、到着してからもさらに時間がかかる。それでも味に引かれて何度も訪れる常連客が多い。なかには芸能人やプロレスラーの姿も。店主の島田良太さんがプロレスファンということもあり、店内にはポスターがいくつも貼ってある。
その同店が最近、何かと注目を集めている。直近の出来事では、東京都知事選絡みでとばっちりを受け、嫌がらせの電話が相次いだ。たこばには、紅生姜の代わりに新生姜を使ったたこ焼きがあり、「岩下の新生姜たこ焼き」として販売。もちろん岩下食品公認のたこ焼きだが、岩下社長が都知事選で某候補を応援したことがきっかけでSNSで炎上。同商品を扱う飲食店にも被害が及んだ。結果的に、たこばのフォロワーが増えたのはいうまでもない。フォロワー数は3万以上。いまでも島田さんを応援するファンが全国から手土産を持って訪れるという。
大阪・豊中出身の島田さんがたこ焼き職人の道に入ったのは高校生のとき。地元のたこやき店でアルバイトをして以来、30年以上が経つ。いくつかのたこ焼き店で働いて味を追究し、20年前に独立。「タコが大きくて昆布だしがしっかり効いた、冷めてもおいしい関西風のふわふわたこ焼き」が自慢だ。
冷めてもおいしい理由は使う油の量にある。同店では、生地を流し込む前に一度油を塗るだけ。だから何個食べてもしつこくない。その代わり速く手際よく焼く技術が求められるため、たこ焼き台は熱伝導率が高い銅板製の特注品を使用。たこ焼き一筋30年の島田さんの職人技が、定番だけでなく、さまざまな創作たこ焼きを生み出してきた。
そのひとつで毎年12月に月替わりメニューとして販売する「牡蠣バターたこ焼き」が昨年はSNSでバズり、例年の3倍売れた。岩下の新生姜たこ焼きもそれを上回る勢いで売れている。
好調に見える同店だが、実はコロナ禍の影響で2店舗を閉店した。光熱費や原材料費の高騰も経営を圧迫。一時は自己破産を考えたこともあるが、ファンの声に何度も励まされたという。
「タコはいまや高級魚。にもかかわらず、粉もん=安いイメージを払拭できず、廃業する店は多い」と島田さん。粉もん屋が適正価格で商売できるよう価値を上げていきたいと、今日も猛暑のなかで奮闘している。 (フリーライター・橋長初代)
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