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日本の解き方 神宮外苑の再開発は「問題」か 公費負担なく行政手続きも正当 10年にわたる正当な議論〝ちゃぶ台返し〟はひどすぎる

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月9日 11時0分

再開発が進む神宮外苑(夕刊フジ)

東京都知事選で、前参院議員の蓮舫氏が公約の一つとして掲げていたのが、神宮外苑の再開発問題だ。

神宮外苑の再開発の事業主体は、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事、三井不動産で、地主は明治神宮だ。都が事業に関わるものではない。

都と神宮外苑の法的な関係については、明治神宮外苑が1957年、都市計画法により「都市計画公園」に指定されたことに尽きる。

神宮外苑の再開発は、2013年に創設された「公園まちづくり制度」の下で進められてきた。そもそも明治神宮には政教分離の観点で公費支出はできない。

三井不動産による高層ビル建設などで収益を稼ぎ、神宮球場建て替えなど再開発に必要な巨額の費用を捻出しているので、カネの面での東京都の関与はない。

明治神宮は、これまで「神宮外苑」の神宮球場などの収益で、原宿にある「神宮内苑」の整備費用を賄ってきた。神宮球場の老朽化などで建て替え費用が必要だが、そう簡単にはできないので、三井不動産を巻き込んで費用を捻出するのが、神宮外苑再開発のキモだ。

神宮外苑の樹木が切られ、高層ビルが建つのはケシカランというのが反対派の言い分だが、都市計画では樹木は増えるとしている。また、都市計画法により再開発には各種の制限があるが、今回の再開発でも一定の手順で進められてきており、22年2月に行われた都の都市計画審議会において立憲民主党の都議会議員は賛成している。

さらに、この再開発をめぐっては周辺住民らが東京都に事業施行認可の効力停止を求める申し立てを行ってきたが、24年3月、最高裁は住民側の特別抗告を棄却し、判決が確定している。

要するに、民間事業者により行われる東京都の公費負担なしの事業で、行政手続きも司法手続きでも問題ないものとして進められてきたものだ。

もし蓮舫氏のいうように、神宮外苑再開発が見直され、〝ちゃぶ台返し〟されると、これまでの経緯から明治神宮などは東京都を相手として訴えざるを得ないだろう。

もし、共産党のように神宮外苑の「樹木を切るな」(実際には増える)と叫んで神宮外苑の再開発ができなくなると、神宮内苑の樹木が枯れてしまうという悪い冗談になりかねない。

ところで、東京都練馬区の練馬城址公園(旧としまえん)は、神宮外苑と同様に地主が民間である都市計画公園だ。そこには現在、「ハリー・ポッター」の関連施設と防災公園がある。

ハリー・ポッター関連施設がよくて、高層ビルがいけないという理由はどこにあるのだろうか。しかも、司法での決着も既に終わっている案件だ。

いくら何でも、10年にわたる正当な議論のちゃぶ台返しはひどすぎるのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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