小林至教授のスポーツ経営学講義・最終回 日本野球、未来への提言 MLBのルール変更はすぐ導入を ポスティングの移籍金を連帯貢献金に 育成した学校やクラブに分配しては
zakzak by夕刊フジ / 2025年1月9日 6時30分
たとえば、日本代表の伊藤純也選手がヘンク(ベルギー)からスタッド・ランス(フランス)に移籍した際、逗葉高校に1750万円、神奈川大学に2800万円が支払われた。このサッカーの仕組みをドジャース・山本由伸投手の事例にあてはめると、72億円の移籍金を得たオリックスから東岡山ボーイズに5400万円、都城高校に1億800万円ということになる。
個別のチームや高校に分配することに業界として違和感があるのであれば、地方連盟や中央競技団体(日本学生野球協会とか)が分配を管理する形にする手もある。佐々木朗希投手のポスティングフィーが、このようなかたちでロッテだけでなく、出身地や母校も含め日本の野球産業全体を潤すとなれば―、25歳まで待った可能性もあったかどうかは分からないが。
以上、記してみたが、要は日本には日本のやり方があるというプライドをぐっと呑みこみ、世界の潮流、そして時代に素直に従うということだ。やらない理由を探すのではなく、変化を受け入れる覚悟を持てば、日本の野球産業の未来は明るいと信じている。
本連載を通じてお伝えしてきた拙論が、読者の皆さまのスポーツ観やビジネス観に少しでも貢献できたならば幸いです。これまでのご愛読、誠にありがとうございました。
■小林至(こばやし・いたる) 1968年、神奈川県生まれ。桜美林大教授、博士(スポーツ科学)。92年ロッテにドラフト8位で入団、史上3人目の東大卒プロ野球選手となるも93年退団。94年から7年間米国在住、コロンビア大でMBA取得。2002年から江戸川大助教授、06年から教授。05年から10年間、ソフトバンク球団取締役を兼任。パ・リーグの共同事業会社立ち上げ、球界初の3軍制導入などに尽力した。ユーチューブチャンネル「小林至のマネーボール」。
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