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BOOK 〝特殊なマーケット〟描きたかった 世界経済に激震、新型コロナとウクライナの戦争が与えた影響 マネーゲームで悪を討つ!黒木亮さん新刊

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月15日 10時0分

――株価が乱高下するマーケットは「カラ売り屋」にとってもウデの見せどころなんですね

「株価が動くということは『カラ売り屋』に限らず、売り手、買い手…あらゆるプレーヤーにとってチャンス(同時にリスクも)ですから、いろんなプレイヤーが活発に動いた。そこに面白さを感じましたねぇ」

――今回、ターゲットにされる液晶バックライトメーカーや地方銀行などにはモデルがある

「〝ミスター液晶〟として登場する人物や水素トラックには明確なモデルがあります。特に〝ミスター…〟(のモデル)には何度も会って詳しく話を聞かせてもらいました。地銀の話も、いくつかのモデルや僕の銀行時代の話をミックスしたり、メールで関係者から取材したり…」

――実名で登場する企業もある。抗議を受けたりは…

「ありませんね。(えげつない取引をしているとして実名を挙げた)都銀についてはこれまでに何度も書いていますしねぇ(苦笑)。ただ、その都銀については、同時にすごく一生懸命に仕事をする会社として僕は尊敬していますから」

――〝ミスター液晶〟では日本のメーカーの技術力が国際競争力を失ってゆく姿も描かれる

「僕が関係者に取材したところでは(競争力を失った理由は)昔のやり方にこだわり、『世界の速さ』についていけなかったことが敗因。融通の利かなさが足を引っ張ったんですね。ただし、全体でみれば、日本の技術力はまだまだ大丈夫ですよ。たとえば『鉄』の技術力は今も日本が世界一だと思う。高級車に使う素材など、いろんな種類の鋼材をつくる力がありますから。他にも日本がトップの技術を挙げたらきりがないくらい」

――こうした経済小説の他に、企業もののノンフクションも書いている

「そうですね。小説とノンフクションそれぞれに合った素材がありますから、今後も『両輪』として書いていきたいと思っています」

元キャリア官僚、北川靖とアメリカの友人たちでつくるニューヨーク・ウォール街のカラ売り専業ファンド『パンゲア&カンパニー』が活躍するシリーズ。新型コロナ禍時代におけるターゲットは、液晶バックライトのメーカーに、水素トラックの開発者、怪しげな地方銀行…。資産の過大計上やウソで塗り固めた製品開発、契約書類の改竄(かいざん)などの〝悪だくみ〟を的確な財務分析と告発レポートで暴いてゆく。

黒木亮(くろき・りょう) 1957年、北海道出身。66歳。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院(中東研究科)修士。大手都銀、証券、総合商社などの海外拠点で主に活躍。こうした実務経験を生かして書いた『トップ・レフト』で2000年作家デビュー。主な作品に『巨大投資銀行』『鉄のあけぼの』『メイク・バンカブル!』。早大時代は箱根駅伝に2度出場。ランナーとしての経験は『冬の喝采 運命の箱根駅伝』に綴られている。英国在住。

取 材・南勇樹/レイアウト・河本亮 写真は黒木亮氏提供

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