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徹底解説・第3弾 男性更年期・治療と予防 睡眠の質の低下とテストステロンが関係 AMSスコアは必ずしも〝つらさ〟とは相関しない

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月11日 16時14分

順天堂大学大学院医学研究科・井手久満特任教授に聞く

男性ホルモンのテストステロンが急激に低下すると、頭痛やめまい、睡眠障害、うつなど、さまざまな不調につながる。これを男性更年期障害(LOH症候群)という。女性の更年期障害は閉経前後の45~55歳に発症しやすいが、男性は個人差が大きくわかりにくい。その診断と治療、予防法について、専門医に聞く。

男性更年期障害は、症状と血液検査によるテストステロン値の低下が、診断の基準になる。だが、自覚症状は個人差もあり幅広い。

「われわれのメンズヘルス外来の調査で一番多いのは睡眠の質の低下で、訴える患者さんは約85%もいました。睡眠障害がある人は、テストステロン値が下がっていることが多い。2番目は意欲の低下、3番目が集中力の低下でした」

こう指摘するのは、順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座の井手久満特任教授。日本メンズヘルス医学会の理事などを務め、男性更年期障害の患者を数多く診ている。

「男性更年期障害の診断方法として世界的に活用されている質問票『AMSスコア』は、点数が高い(=症状がある)からといって、テストステロン値が必ずしも低いとは限りません。逆もしかりです」

AMSスコアは、「肉体的にも精神的にも調子が悪い」などの17項目に対し、自分の症状に合わせて、なし1点、軽度2点、中等度3点、重度4点、きわめて重度5点をつけ、27~36点が軽度、37~49点が中等度、50点以上が重度と、症状の程度を推測できる。重度であればテストステロン値は極めて低そうだが、血液検査をしてみるとそれほど低くないことも、珍しい話ではないという。

「患者さんのつらい状態と、AMSスコアが相関しないことがあるのです。診療では、患者さんの症状とテストステロン値の低下を評価し、個人差があることを踏まえた上で診断しています」

『LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き』(医学図書出版)によると、医師はまず、睡眠障害や気力の低下などの症状に対し、うつ病など別の病気が原因ではないかを診る。原因となる別の病気がなく、睡眠障害などの自覚症状があって、血液検査で総テストステロン値250ng/dl未満だと男性更年期障害と診断される。

ただし、総テストステロン値は、日本人の場合、男性更年期障害でも変化しないことがある。その場合、総テストステロンの構成成分・遊離(フリー)テストステロン値が7・5ng/ml未満でも、男性更年期障害となる。

「遊離テストステロン値が8ng/mlでも、男性更年期障害が強い人はいます。診療の手引きにも、測定値に関わらず総合的に判断することが盛り込まれています」

問診表や血液検査だけでは計り知れない男性更年期障害。正しい診断を受けるには、日本メンズヘルス医学会の「テストステロン治療認定医」に診てもらおう。 (取材・安達純子)

■井手久満(いで・ひさみつ) 順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座特任教授。医学博士。1991年宮崎大学医学部卒。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校ハワードヒューズ研究所、帝京大学医学部泌尿器科学准教授、獨協医科大学埼玉医療センター教授などを経て2023年から現職。

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