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1万本を見た映画記者 極私的スター名鑑 ジャック・ニコルソン、眉毛を上げ〝キラースマイル〟で圧倒の強烈個性派 自由奔放な恋愛遍歴の私生活

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月19日 11時0分

ジャック・ニコルソン(夕刊フジ)

映画スターは、昔も今も若者文化に大きな影響を与える。筆頭格は自由奔放な個性派のジャック・ニコルソンだろう。先日、B級映画の帝王ことロジャー・コーマンの訃報が伝えられた。若き日のジャックは、コーマンと組んで多くの低予算映画に出演、脚本も書いた。やがて伝説の「イージー・ライダー」(1969年)でアル中の弁護士を演じ、アカデミー賞助演男優賞の候補になって脚光を浴びる。

名作「カッコーの巣の上で」(75年)でついに同主演男優賞を獲得。以後、半世紀に、男優では過去最多の合計12回も同賞の候補になった。

彼がヒット作「恋愛小説家」(97年)で2度目の主演男優賞に輝いたとき、単独インタビューの話に小躍りした筆者はロサンゼルスへ飛んだ。

ホテルの個室でインタビューを始めると、映画会社の女性が「5分の約束だから終わり」と言う。筆者は「冗談じゃない。5分のためにわざわざ日本から来たんじゃない」と激怒、ジャックも眉毛を上げた例のキラースマイルで、「そうだ、そうだ」と加勢してくれ結局30分以上話した。

――半世紀も人気俳優を続ける秘訣は?

「同じような役を何度も演じるのは俳優のワナだからね。それに、できると分かっている役はスリルがないしね」

なるほど。「愛と追憶の日々」(83年)の元宇宙飛行士役と「バットマン」(89年)の敵役ジョーカーではキャラクターがまるで違う。

自由奔放な恋愛遍歴の彼に私生活も聞いた。

「子供は3人以上で12人以下だ。まあ世の中のすべては、ラブのなせるワザさ」とニヤリ。

天下のプレイボーイは真面目顔とひょうきん顔を使い分けてみせた。

■ジャック・ニコルソン 1937年4月22日生まれ、87歳。米ニュージャージー州出身。

■垣井道弘(かきい・みちひろ) 1946年、広島県三原市生まれ。明治大学文学部卒。週刊誌「女性自身」の記者を経て、映画評論家になる。著書に「MISHIMA」(飛鳥新社)、「今村昌平の製作現場」(講談社)、「ハリウッドの日本人」(文芸春秋)、「緒形拳を追いかけて」(ぴあ)などがある。

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