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日本の解き方 「人口減少」は本当に問題なのか まかり通るネガティブな未来予想も 1人当たりのGDPと関係薄く 機械化やAIで対応可能だ

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月1日 11時0分

総務省=東京都千代田区(夕刊フジ)

総務省が7月24日に発表した人口動態調査によると、今年1月1日時点の日本人の数は約86万1000人(0・70%)減で、1968年の調査開始以降、最大の減少幅となった。

都道府県別では、東京都のみ微増となった。一方、外国人は全都道府県で増え、初めて300万人を超えたという。

人口減少の問題はよく深刻に指摘されるが、あまのじゃくな筆者には何が問題なのかストンとこない。

人口減少によって、労働人口が減るから経済が悪くなるという。そのため、社会保障制度が破綻するというネガティブな未来予想もまかり通っているが、本当だろうか。

まず人口が経済に与える影響を考えてみよう。これまでの人類の歴史では、人口減少より人口増加のほうが大問題だった。有名なものは、マルサスの「人口論」がある。1972年のローマクラブの「成長の限界」のベースにもなっているもので、人口増加への対応は困難だが、人口減少に対しては人への機械装備率を高めれば対応できるとの議論があった。筆者は後者の代表例だ。

最近の経済成長理論でも、人口増加は1人当たりの資本を減少させるので、貧困の原因である。その一方、人口減少には資本増強などでまだ対応策がある。ちなみに、世界216カ国・地域において、最近30年間の平均人口増加率を横軸、平均1人当たり実質国内総生産(GDP)成長率を縦軸とすると、右下がりになる。この間、人口減少している国・地域は日本を含め27だ。1人当たり実質GDP成長率について、人口減少国・地域は3・2%、人口増加国・地域は1・8%と、人口減少国のほうが高い。

このデータは、人口増加率が高いほど、貧しくなる傾向があることを示しており、人口減少は大きな問題ではないというもので、これまでの人口論や筆者の直感に合っている。先進国では人口増加は1人当たり実質GDP成長率と無相関になる。いずれにしても、人口増加で経済がよくなるというデータはあまりない。

筆者が、人口減少は大きな問題ではないというのは、人口のマクロ経済への影響は大したことがないのに加えて、人口減少を正しく予測できていれば大きな問題にならないからだ。というか、年金制度など予測可能な問題なら事前に対処できる。この点からみれば「年金破綻論」はかなり怪しいと言わざるを得ない。

人口動向は人の生物としての本能的な営みが大きく関係するのは自明だが、それを金銭要因でどこまで誘導できるかについてよくわかっておらず、政治家のみならず在野からもおびただしい政策提言があるものの、客観的なエビデンス・ベースト・ポリシー(証拠に基づく政策)からほど遠い。

仮に人口減少に問題があるというのなら、社会の治安を脅かす外国人労働者の受け入れより、機械化や人工知能(AI)活用で1人当たりの資本増加策を優先したらいいということになるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

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