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勝負師たちの系譜 最年少永世棋聖・藤井聡太 独特の持ち味「山崎ワールド」をうまく咎め…得意とする勝ちパターン 大山十五世名人思い出す強さ

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月6日 10時0分

山崎八段(左)に3連勝し、防衛を果たした藤井棋聖(夕刊フジ)

藤井聡太棋聖が山崎隆之八段を挑戦者に迎えた、棋聖戦五番勝負第3局は1日、名古屋市の「亀岳林・万松寺」で行われ、藤井が勝って3連勝で防衛。同時に5期連続棋聖を獲得し、藤井にとって初の永世称号と共に、21歳11カ月という、最年少での永世棋聖という記録を打ち立てたのだった。

これまでの最年少記録は、中原誠十六世名人の23歳11カ月だから、記録を2年更新したことになる。

永世棋聖への道のりは藤井の場合、17歳で棋聖を奪取し、4期連続防衛で達成だから、記録がいかに大変かお分かり頂けよう。

今期挑戦者の山崎は15年ぶり、2回目のタイトル戦。43歳という年齢は、タイトルを取りに行く観点からすると、最後のチャンスかもと思わせるものがあった。

今期、山崎が本戦で倒した相手は、森内俊之九段、渡辺明九段、永瀬拓矢九段、そして決勝が佐藤天彦九段と、超一流棋士だけだから、山崎も立派な一流棋士の仲間だ。

山崎の独特の持ち味は「山崎ワールド」とも言うべき、他のプロから見るとちょっと違和感のある手で自分の世界に引きずり込み、そこから力でねじ伏せるという手法で勝つことが多いこと。

この手法はうまくいくときは完全に山崎ペースとなるが、失敗すると空中分解することが多い。

今回のシリーズは残念ながら、山崎の作戦がすべて空回りし、藤井に良い所なく敗れた感がある。

特に第3局は、山崎が特に悪い手を指したと思えなかったが、独創的な手をうまく咎(とが)められ、一方的に藤井が攻めて勝ったような将棋だった。

そしてシリーズ全体でも、形勢の針が藤井に60まで傾いたら、そのまま終局まで一度も逆転しないで100に到達する、藤井の得意とする勝ちパターンが、全局で見られたことであった。

私は何十年前にも、同じような光景が見られたことを思い出した。

それは花村元司九段や灘蓮照(れんしょう)九段のような力で来いという、クセのあるタイプの棋士が他の猛者たちを倒して挑戦者になっても、大山康晴十五世名人には全く歯が立たなかったことを。

山崎も対局後、「もっと強くなって挑戦したい」と、今のままでは勝てないことを認めたというから、今後も頑張る中年棋士の姿が見られるかもしれないと期待するのである。

■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。

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