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ニュース裏表 田中秀臣 〝もしトラ〟経済政策、ドル高是正とインフレ再燃に矛盾も 日本に脅威、利上げを求め過去の「プラザ合意」再現へ

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月23日 11時0分

トランプ前米大統領への暗殺未遂事件は衝撃的だった。トランプ氏の強運と、また力強さをイメージさせた政治的な出来事でもあった。事件後の世論調査では、トランプ氏とバイデン氏に有意な差はついていなかった。だが、米国民の関心は、大統領選後の過激派による暴動への懸念や、バイデン氏の大統領選からの撤退に向かっていたようだ。そして、トランプ氏の発言に以前に増して注目が集まっている。

18日の為替市場では、トランプ氏の円安ドル高を是正するという発言を受けて、ドルを売って円を買う動きが広まり、約1カ月ぶりの円高水準になった。為替レートに敏感な半導体関連などを中心に日経平均株価も大きく下落した。もちろんトランプ氏の発言だけでなく、河野太郎デジタル相の無責任な利上げ発言や、財務省・日銀の為替介入への警戒感なども影響したかもしれない。いずれにせよ「もしトランプ大統領が戻ってきたら」という〝もしトラ〟の可能性は真剣に考察すべきだ。

〝もしトラ〟の経済政策は、減税を中心にした景気刺激政策と中国などへの貿易政策が中心だ。富裕層を中心にした幅広い層や大企業への恒久的な減税政策で、消費や設備投資を拡大させる。他方で中国への「最恵国待遇」をやめ、一部の輸入品を停止し、関税を60%以上大きく引き上げる。ただし中国だけでなく、日本からのものを含むすべての輸入財にも10%の関税を課すとトランプ氏は公言してきた。これは日本にも脅威になる。

恒久的な減税も関税政策もすべて米国のインフレを再燃する可能性がある。岸田政権のように1回だけの定額減税は景気刺激効果が限定的だ。なぜならやがて増税などの負担が増えると予想して、可処分所得の増加を消費に回すことなく、将来のために貯蓄するからだ。それに対して恒久減税は、将来の負担増の心配がないので、景気刺激効果は大きい。

関税政策は、輸入品の価格を押し上げる。インフレが再燃すれば、米国債の金利は上昇する。これは〝もしトラ〟の経済政策の矛盾になる。なぜなら米国債の金利上昇は、円安ドル高をもたらすからだ。トランプ氏が円安ドル高の是正を求めたことと相反する。そうなった場合に、〝もしトラ〟政権は、日本に対して利上げを求める可能性がある。過去のプラザ合意の再現だ。

恒久減税の財源に注目すると、ウクライナへの軍事支援をカットするなどの動きが出てくるだろう。台湾有事への影響も心配になる。さまざま考えると、〝もしトラ〟政権と対話できる、安倍晋三元首相のような日本のリーダーが絶対に必要だ。 (上武大学教授 田中秀臣)

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