テレビ用語の基礎知識 ニュースの信頼回復(2)すぐに直せる3つのダメポイント ニュースを金もうけ、事実が少なく意見が多い、他のメディアの受け売り
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月5日 6時30分
前回に続き、「どうすればテレビニュースは信頼を回復ができるか」を考えます。
信頼が低下した理由はいくつもあるでしょうが、「すぐにでも直せるダメポイント」を、ここでは3つ指摘しようと思います。①ニュースを金もうけに使いすぎ②事実が少なくて意見が多すぎる③他のメディアの受け売りばかり―ではないでしょうか。
①は、大事なニュースをやらずに視聴率がとれるニュースばかりやっているということと、番宣や宣伝ぽいニュースが多すぎることです。例えば、大谷選手の話ばかり延々とやるのは、明らかに視聴率がとれるからですし、夏場に毎日「今日も暑い」とかやるのも数字は取れますが、当たり前の話をしているだけでそんなに意味はありません。
ニュースでイベントや番組の宣伝もバンバン流れて、これじゃ「金もうけのためにニュースをしてるだけで、真面目に報道してないな」と思われて当然です。
②の「意見が多すぎる」というのは、ニュースなのにコメンテーターやキャスターが自分の意見ばかり言っているということ。しかもだいたいコメンテーターは「うるさそうなジジババ」か「ジジババに人気がありそうな意識高い系のスカした若者」のどちらかです。多くの若い視聴者からすると、彼らの「若干偏ったオピニオン」に賛同できるはずもなく、ニュース番組を見る気がなくなる効果しかありません。
私は常々思うのですが、ニュースは「人々が意見を決めるための事実」を提供するものであって、「人々に意見を押しつける」ものではありません。
③は、最近スタジオでの解説がやたらと長くなって、ボードに「ネットではこんな意見が」とか「雑誌がこう報じている」とか、どこかから拾ってきた情報を受け売りしているニュース番組が多いことです。ネットの「まとめ」みたいなことをやっても、それを面白がるのは「ネットを見ない高齢者」だけで、自分でネットを見る大部分の視聴者からすれば、それはもう知っている情報ばかりで、「テレビには独自の情報がないから見る意味がない」と思わせるだけです。そして「テレビは高齢者だけに向けてニュースを作ってる。自分たちは相手にされてない」と思わせている。
だから信用されないわけです。テレビはもっとコツコツと取材して、決定的映像をとって「多くの事実」を提供する。朝から晩まで水増ししたニュースをやらず、コンパクトでいいから事実を淡々と伝える。それしか信頼回復の道はないんです。
■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日入社。「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。新著『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)が発売中。
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