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BOOK 世論喚起のため…エンタメ側から積極的安楽死を深堀り ALS患者安楽死事件がモチーフ 中山七里さん『ドクター・デスの再臨』

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月20日 15時0分

――多作ですね。月産700枚(400字詰め)、寝ない、トイレは1日1回だけ。〝小説の設計図〟というべきプロットは3日で考えるとか

「それでも3時間は寝ていますよ(苦笑)。僕のような才能のない物書きはそういうローテーションでもしない限り生き残っていけません」

――こんな〝売れっ子〟なのに才能がないって

「物書きになるつもりはなかったんです。衝動的に応募した作品が文学賞の最終選考に残ったけれど、ボロクソに批判された。そのリベンジで書いた作品(『さよならドビュッシー』(2009年)がデビュー作となり、なし崩しに作家になっただけです。もっともっと才能のある人はいっぱいいますからね」

――それにしては、司法、医療、音楽、政治…いろんなジャンルを

「森羅万象すべてが僕のテーマなんですよ。ただ、僕は何の経験も専門知識もない。取材も改めてしないし、資料もあまり読みません。これまで見たり、読んだりして頭の中に入っているものを引き出して書く。そういう意味では書くことはラク、手(スピード)は遅いんですけどね」

――あれだけ書いているのに「手が遅い」と…

「遅いですね。往年の松本清張さんは、1日80枚、それも手書きですよ。それに比べたら僕は怠け者もいいところ」

――心をつかむコツは

「読む人にストレスをかけないこと。書き手がラクをすると、読者は苦労する。逆もしかりです。だから、いかにストレスを与えず、退屈せずに最後まで読んでもらうか? 文章はもちろん、改行、記号の使い方まで考えます。それが僕の仕事ですから」

――ペンネームは郷里岐阜県の景勝地から

「覚えてもらいやすいでしょ。サインもしやすいし(笑)。(中山七里は)映画の舞台や橋幸夫さんの歌にもなっていますよ」

――これからも書き続けてゆく

「実は2030年まで執筆予定が組まれてしまっている。それまでは生きていられるかな。まぁ、たとえ途中で死んでも5年くらいは本が出続けるストックがあるんですけどねぇ。ずっと書き続けて、突然動きを止めてしまうような死に方にあこがれます」

(取材・南勇樹 撮影・相川直輝)

■『ドクター・デスの再臨』KADOKAWA 1925円税込み

かつて社会を震撼させた〝安楽死請負医師〟『ドクター・デス』。その模倣犯を思わせる事件が相次ぐ。年老いた国民的女優まで〝その手〟にかかり、騒ぎは大きくなるばかり。安楽死を請け負ったとされる「JKギルド」は一体何者なのか? 以前ドクター・デスと対峙し、辛酸を舐めさせられた警視庁捜査1課刑事、犬養隼人は〝ある人物〟に会うため、拘置所を訪ねるのだが…。

■中山七里(なかやま・しちり) 1961年岐阜県出身。62歳。2009年『さよならドビュッシー』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、翌年作家デビュー。〝50歳前〟の遅咲きながら、緻密に練り上げたストーリーと斬新なアイデアでヒット作を量産。意外性のあるラストで〝どんでん返しの帝王〟の異名も。主なシリーズに『刑事犬養隼人』『御子柴礼司』『岬洋介』などがある。

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