実録・人間劇場 アジア回遊編~インド・ネパール(18)全開の窓から舞い込む砂埃で土まみれも…むしろ爽快感 目の前の門の向こうはネパール
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月21日 6時30分
ヒンドゥー教と仏教の聖地であるインド北部のバラナシで1週間を過ごし、次に目指すはネパールである。バラナシという街は去り時がわからなくなる場所だ。宗教の聖地というだけあって、毎日多くの人が訪れ、多くの人が去ってゆく。
そして、何と言ってもとにかく人が多い。ゆえに街を歩いているだけで毎日いろんなことが起きる。信徒たちのように巡礼という明確な目標があるわけでもない私のような旅行者は、時間の許す限りこの街に入り浸ってしまう。その証拠に「沈没宿」とされる日本人宿がバラナシには複数ある。
バラナシからネパールの首都カトマンズまでは直線距離にして約300キロメートル。飛行機に飛び乗ってしまえば直行便で、わずか25分で到着してしまう。しかし、陸路で入国しようとすれば丸一日費やすことになる。ただ、飛行機を使った途端、20倍以上の費用がかかるのだ。
それにバラナシ駅の朝の活況を見ると飛行機に乗る気がうせてくる。彼らの生活ぶりからすれば、航空券など買えたもんじゃない。バックパッカーという時間だけは有り余っている貧乏旅行者である以上、陸路入国一択だった。
カトマンズへ向かうには、まずバラナシ駅から列車でゴーラクプルという街に行かなければならない。事前予約のいらないGN(最下層)クラスに乗り込み、揺られること約5時間。次はバスに乗ってネパールとの国境の街・ソノーリを目指す。
ちなみにインドの列車は日本で頻繁に目にするあの写真(車体の屋根や側面まで人でいっぱい)ほど混まないし、遅れもしない。だが、このバスといえば、そもそも出発予定時刻という概念すらなく乗客がいっぱいになった時点で走り出すようだ。当然、エアコンなどあるわけもなくサウナのように蒸し暑い車内で待つしかない。しかも「乗客がいっぱい」の基準が納得いかない。どう見てもすでに乗車率は120%を超えているのに、「まだ乗れる、まだ乗れる」と一向に出発の素振りを見せないのだ。結局、バスが動いたのは約1時間後。私の膝の上には隣に座っているおばちゃんの行き場を失った荷物が載っていた。
全開の窓から舞い込んでくる砂埃で土まみれ、もちろん全身汗まみれだが不快感はない。ここまで来るともはやスポーツの域に達し、むしろ爽快感すら覚えるほどだ。中途半端に脂汗をかく日本の深夜バスの方がよっぽど不快である。
ソノーリに着いたのは約4時間後。目の前にある門の向こう側はもうネパールだが、私は国境手前の安宿に一泊した。国境を行き来する人たちを甘ったるいコーヒーをすすりながら眺めていると、あっという間に時間が過ぎていった。
■國友公司(くにとも・こうじ) ルポライター。1992年生まれ。栃木県那須の温泉地で育つ。筑波大学芸術学群在学中からライターとして活動開始。近著「ルポ 歌舞伎町」(彩図社)がスマッシュヒット。
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