新田哲史 東京都知事選・大情報戦を斬る! 都知事選〝女傑対決〟は危機対処で明暗 米大統領選に最も近いメディア選挙〝蓮舫ショック〟を逆手に小池氏「らしさ」健在
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月18日 11時0分
「小池都政をリセットするために、私は立ちます」
2024年の東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)は、立憲民主党の蓮舫参院議員(離党済み)の出馬表明(5月27日)で、一気に劇場化した。
ともにニュースキャスター出身で、知名度抜群の小池百合子都知事と蓮舫氏。くしくも8年前、ネット情報戦の視点から2人を分析した『蓮舫vs小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックスPLUS新書)を上梓した筆者としては、予想(期待?)に違わず白熱する情報戦を連日分析してきた。
〝蓮舫ショック〟は、さしもの小池氏でも想定外の事態だったようだ。当初、5月29日の都議会定例会初日と伝えられた3選出馬表明は見送りになった。続く、港区長選(6月2日投開票)では、自民、公明推薦で6期目を目指した現職が、無所属新人の野党系前区議、清家愛氏に競り負けた。一時は「小池氏が出馬を見送る可能性も出てきた」(自民党都議)との見方すらあった。
だが、そこは小池氏だ。ピンチを逆手に取り始めた。
区長選から一夜明けた早朝、清家氏に早速アプローチした。都庁に招き、報道陣の前で祝意を伝えた。会談はわずか2分。日頃付き合いのない新人当選者を正式就任前に急遽(きゅうきょ)呼ぶこと自体が異例だ。都区の連携を確認するという「建前」の裏で、自身の都知事選出馬をにらんだ政治的「本音」を含んでのことは明らかだった。
さまざまな解釈はあろうが、例えば清家氏の〝清新〟さを取り込んで無党派層にアピールしつつ、都内地方選で連敗続きの自民党に対しては「一定の距離を取る」というメッセージにも見える。逆風の時に、当意即妙な演出で乗り切る「らしさ」は健在だった。
他方、初動は良かった蓮舫氏だが、その後は「共産党との接近ぶり」が目立ち、中道層や無党派層の取り込みに不安が生じた。さらに、蓮舫氏は2日、JR有楽町駅前で「七夕に予定されている都知事選に蓮舫は挑戦します。みなさんの支援をよろしくお願いします」と述べたことで、公職選挙法で禁じられている「事前運動」の疑いを招いて迷走した。その後、陳謝での「損切り」もなく、苦手な危機対処は「二重国籍」問題当時から成長していないようにも感じる。
政策後回しのパフォーマンス合戦には辟易(へきえき)するが、都知事選は米大統領選に最も近いメディア選挙であるが故の「病理」をはらむ。
今回の連載では、都知事選の情報戦の構造や歴史をひも解き、読者の一考に資するようにしていきたい。
新田哲史(にった・てつじ) 報道アナリスト。株式会社ソーシャルラボ代表取締役。1975年、横浜市生まれ。早稲田大学卒業後、読売新聞記者、ニュースサイト「SAKISIRU」編集長などを経て、現在は企業や政治関係者の情報戦対応を助言している。著書に『蓮舫vs小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)など。
この記事に関連するニュース
-
新田哲史 東京都知事選・大情報戦を斬る! 都知事選をパフォーマンス合戦に変貌させた〝張本人〟は!? テレビ選挙化の転換点「青島ショック」の伏線、91年の鈴木氏圧勝
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月22日 10時0分
-
新田哲史 東京都知事選・大情報戦を斬る! 漂流する首都の保守票の行方 「受け皿」目指す田母神俊雄氏と百田尚樹氏のタッグが難しいワケ ポスト安倍時代の保守勢力の流動化
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月20日 6時30分
-
新田哲史 東京都知事選・大情報戦を斬る! SNSや動画配信で「ドブ板選挙」が様変わり 東京都知事選、先の港区長選で勝因の一つ動画広告がいまや〝政見放送〟に
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月18日 15時10分
-
「7つのゼロ」の公約は「ほぼ未達成」なのに…元都庁幹部が指摘する「女帝・小池百合子都知事」の強さの秘密
プレジデントオンライン / 2024年6月9日 7時15分
-
都知事選を前に「蓮舫叩き」が盛り上がる事情 小池氏は出馬表明を遅らせ「公務に専念」と沈黙
東洋経済オンライン / 2024年6月8日 9時0分
ランキング
-
1旭川の中2いじめ凍死、ネットに黒塗りされていない資料を掲載…市の要請で市民団体が削除
読売新聞 / 2024年6月26日 23時20分
-
2ANA機で気圧が異常低下、乗客乗員11人が耳の痛みや倦怠感…警報作動し緊急事態を宣言
読売新聞 / 2024年6月26日 20時41分
-
3例年より早い流行『手足口病』あれこれ情報まとめ 子どもだけじゃない...親が重症化することも「その見分け方は?」質問に専門家からは意外な答え
MBSニュース / 2024年6月26日 12時51分
-
4美術家・三島喜美代さん死去 91歳 「ゴミ」モチーフの作品多数
毎日新聞 / 2024年6月27日 0時0分
-
5「肉は監査の時だけ」…食材費過大徴収で連座制適用の「恵」職員が明かす
読売新聞 / 2024年6月26日 23時55分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください