米が〝ドローン1000機超〟台湾に売却承認 中国軍の上陸阻止にらみ装備拡充 侵攻なら「地獄絵図」戦略具現化の動き
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月20日 11時41分
米政府は18日、台湾に計1000機以上の小型の武装ドローン(無人機)を売却することを承認したと発表した。台湾海峡を挟み、中国の軍事的威圧が強まるなか、台湾側は「敵の脅威に迅速に対応できる」と米政府に謝意を表した。識者は「台湾の抑止力を上げるもので、中国からすると効果的な装備を台湾側に渡されたかたちだ」と指摘した。
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米CNNなどによると、米国防総省傘下の国防安全保障協力庁(DSCA)が台湾側への売却を発表したのは、自爆型ドローンの「スイッチブレード300」720機と、「アルティウス600M」291機。それぞれの関連機器と合わせて、総額は推定3億6000万ドル(約570億円)以上だ。
「スイッチブレード300」は、ウクライナでも使用されており、侵略してきたロシアにも威力を発揮している。「アルティウス600M」はやや大きく、目標捜索装置や弾頭を搭載できる。
どちらも偵察、攻撃の両方の用途に用いることができる無人兵器だ。
ロイターによると、台湾国防部(国防省)は、「中国共産党が台湾周辺で頻繁に軍事作戦を展開するなか、米国が今回売却に同意した兵器には、リアルタイムの探知・攻撃能力があり、敵の脅威に迅速に対応できる」「人民解放軍が台湾周辺で抑圧的な軍事作戦を中止し、地域の安定に共同で貢献することが期待される」と、早速謝意を示した。
ドローンによる攻撃をめぐっては、米インド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官が、10日付の米ワシントン・ポスト紙のインタビュー記事で、中国が台湾に侵攻しようとすれば、無人兵器により「ヘルスケープ(地獄絵図)」をつくり出す迎撃戦略をアピールしたばかりだ。
今回の米側のドローン売却発表をどう見るか。
元陸上自衛隊中部方面総監の山下裕貴氏は「パパロ司令官が口にした米側の戦略を具体化する動きで、台湾側の抑止力を着実に上げている。中国にとっては痛いところを突かれる装備を渡されたかたちだろう」と話す。
ただ、米シンクタンクによると、これまでに米国が台湾へ売却を決めた武器のうち、まだ196億ドル(約3兆円)以上相当が未納入という。
山下氏も「武器が届いても、訓練や整備体制の構築などが必要だ。ドローンが実際、いつ届くのかも重要なポイントだ」と指摘した。
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