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〝5万回斬られた男〟福本清三の後継者・本山力が語る『十一人の賊軍』撮影秘話 「仁義なき戦い」名脚本家による幻の一作

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月29日 11時0分

〝5万回斬られた男〟の異名を持つ俳優、福本清三の後継者と期待がかかる「東映剣(つるぎ)会」所属の俳優、本山力が11月1日公開の東映時代劇「十一人の賊軍」のメインキャストの1人を演じ話題を呼んでいる。〝大部屋俳優〟からの出世コースは福本がたどった同じ道。「大役も斬られ役も演じる上では同じ」と言いながらも、「正直、抜擢されてうれしかったです」と本音で語る本山に撮影秘話を聞いた。

「十一人の賊軍」は東映の大ヒット作「仁義なき戦い」などで知られる名脚本家、笠原和夫の〝幻の一作〟。検討会議で後に東映会長となる岡田茂に企画を没にされ、怒った笠原が脚本を破り捨てたといういわくつきの作品を「孤狼の血」シリーズを手掛けた白石和彌監督が令和の時代によみがえらせた。

「長い槍を使った殺陣を見せてほしい。そう白石監督に撮影現場で声をかけられて」

白石監督の時代劇「碁盤斬り」(5月公開)に斬られ役で出演していた本山は「撮影の合間に監督の前で槍の殺陣を披露した」と言う。

「別の作品で殺陣の参考にするのだろうと思っていたら、その後、脚本が送られてきたんです」

それが「十一人の賊軍」の脚本で、「読むと、私の役は11人の1人じゃないか!」と驚いた。

時代は幕末。日本を2分する戊辰戦争が勃発。新政府軍に勝利をもたらしたのは旧幕府軍の新発田藩の裏切りだった…。駕籠屋の政(山田孝之)、剣豪・兵士郎(仲野太賀)、イカサマ師の赤丹(尾上右近)、〝爺っつぁん〟こと長州出身の剣術家(本山力)ら11人の賊軍が同藩に集められる…。

本山は数多くの「ラス殺陣(たち)」(最後=ラストの斬られ役の殺陣)を演じてきた。

「もっと生きたかった侍、誰かを守るために命をささげる侍…。そんな最後の心情を思い浮かべながら斬られてきました」

斬られ役の矜持をこう語る本山が11人の要となる屈強な侍を演じる。

「5万回まであと何回? 数えたことがないですが、これからもまだまだ斬られる覚悟です」

福本の後継指名を受けた本山の全盛期はまだまだこれからだ。 (波多野康雅)

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