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日本の解き方 経産省が素案公表「エネルギー基本計画」の読み方 欧米と比較、日本の原子力強化は理にかなっている 国際情勢の変化を反映すべき

zakzak by夕刊フジ / 2024年12月21日 10時0分

経済産業省は17日、エネルギー基本計画の素案を公表した。素案では再生可能エネルギーの割合を4割から5割程度、原子力を2割程度としている。

エネルギーの需給や利用に関する国の政策の基本的な方向性を定めるものが同基本計画で、政府はおおむね3年ごとに改定している。今回、2024年度中の7次計画策定を目指しており、現時点では経産省内の審議会レベルだが、いずれ閣議決定されるだろう。

まず、世界のエネルギー構成比の実情をみておこう。22年時点で日本は、液化天然ガス(LNG)、石炭、石油など「化石燃料由来の火力」が72・8%、「原子力」が5・5%、「再生可能エネルギー」が21・5%となっている。米国は火力60・6%、原子力18・0%、再エネ21・4%だ。

欧州連合(EU)は火力39・6%、原子力21・8%、再エネ38・7%だ。EU内の主要国では、ドイツは火力50・2%、原子力6・0%、再エネ43・8%、フランスは火力13・0%、原子力62・8%、再エネ24・3%となっている。

そして英国は火力43・2%、原子力14・8%、再エネ42・0%だ。

日米を比較すると、日本は火力の比率が高くて原子力が低く、再エネは同程度だ。

日欧を比較すると、日本は火力の比率が高く、原子力と再エネが低い。脱原発をして経済成長しなくなったドイツと、日本の原子力は同レベルだ。

前回の日本の第6次計画では、30年度で火力41%、原子力20~22%、再エネ36~38%という目標を置いた。今の欧州と10年遅れでほぼ同じ数値目標というわけだ。

今回の7次計画では火力から再エネの流れを加速しようとしている。また、欧米と比較しても、日本が原子力の比率を引き上げるのは当然だ。しかし、7次が6次と同じでいいのかは疑問だ。もっと引き上げるべきではないか。

また、火力から再エネの比率を高めるのは、政府が50年に温暖化ガス排出を実質ゼロに減らす目標を持っているからだ。

エネルギーはどんな種類でも多くて困ることはない。また、50年になれば、おそらく脱炭素で本命とされる「核融合」も商業ベースの軌道に乗っているだろう。それまでのつなぎとして、当面、原子力を強化するのは理にかなっている。

国際情勢も変化している。米国はドナルド・トランプ政権が始動すると、ジョー・バイデン政権が推し進めた脱炭素化を見直す方針だ。その上でシェールガスなどを増産・輸出する可能性もある。

日本もエネルギーの中東依存の見直しや日米同盟強化の観点から、火力にもっと柔軟性を持たせたほうがいいだろう。

7次計画では、エネルギー技術の進展や国際情勢の変化があまり盛り込まれていない点が気になる。経産官僚が世間の目を気にしながら、状況の変化を考えずに前回計画を単純になぞっているように見える。無理をすれば計画は達成できるだろうが、そもそも計画があるべき姿からかけ離れているようだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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