仲新城誠 沖縄が危ない! 石破首相が言明「日米地位協定の改定」への期待 県民にくすぶる不平等感、在日米軍の安定的運用を 沖縄における自衛隊の役割拡大も
zakzak by夕刊フジ / 2024年10月10日 11時0分
石破茂首相が、在日米軍の特権的地位を定めた「日米地位協定」の改定に前向きだ。那覇市で開かれた自民党総裁選候補者の演説会では、協定について「運用改善だけで事が済むとは思わない。少なくとも改定に着手したい」と言明した。県民の期待が一気に高まった。総裁選の党員票も沖縄では石破氏が1位だった。
今年は在沖米軍の兵士が少女を性的暴行した事件がクローズアップされたが、同種の事件が後を絶たない一因として、日米地位協定の存在が指摘されている。米兵が犯罪を起こしても、米軍は協定を根拠に、起訴前の身柄引き渡しを拒めるからだ。
協定改定に米政府が難色を示すのは必至だが、首相自ら改定の必要性を訴えた意義は大きい。改定が実現し、県民にくすぶる不平等感を払拭できれば、批判が多い在日米軍の安定的運用にもつながる。最終的には米国にも悪い話ではない。
石破首相は、米国に新大統領が誕生するタイミングで説得してほしい。
あまり注目されていないが、石破首相が「自衛隊による在日米軍基地の共同使用推進」を打ち出したのも正しい方向性だ。日本の法律が及ばず、ブラックボックス化している米軍基地の運用に自衛隊が関与することで、日本側から見た透明性が高まる。
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に伴って建設される基地を、自衛隊が共同使用するのはどうか。内外から大きな注目を集める基地だけに、共同使用が実現すれば日米連携のシンボル的な存在になるだろう。
沖縄の広大な米軍基地を見ていると、仮に沖縄が攻撃された場合、真っ先に防衛出動するのは米軍で、自衛隊は補助的な役割しか持たないのでは、と錯覚しそうになる。米軍の存在感があまりにも大きく、自衛隊の存在感があまりにも弱いのだ。
県民の米軍に対する不信感は根強い。一方、沖縄の日本復帰から50年余、災害救助や不発弾処理に献身してきた自衛隊への信頼感は強固になった。沖縄でいまだに自衛隊を年中批判しているのは、地元メディアや一部の活動家くらいなものだ。
米軍基地は「負担」だが、自衛隊基地はそうではない。沖縄における自衛隊の役割を拡大強化することも、県民の基地負担軽減のため有効な方策である。
そのためには、自衛隊を「日陰者」扱いしている憲法9条の改正に、いずれは踏み込まなくてはならない。これこそ「運用改善」で事は済まない。
石破首相は総裁選で、任期中に憲法改正の国会発議を目指す考えを示した。歴代政権がなし得なかった難題だからこそ、果敢に挑戦してほしい。
沖縄の中でも台湾に近い八重山諸島は、文字通りの対中最前線だ。総裁選で石破首相からは特に言及がなかったが、「国境離島の振興」も、政権を挙げて取り組むべき責務だ。
■仲新城誠(なかしんじょう・まこと) 1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。現在、同社編集主幹。同県のメディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に『「軍神」を忘れた沖縄』(閣文社)、『翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走』(産経新聞出版)、『偏向の沖縄で「第三の新聞」を発行する』(同)など。
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