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宮崎正弘 世界大混乱・悪の論理 「未曾有の円安」三流経済が示す日本政治の貧しさ 投資を超える巨額資金が「中国経済の破綻を救う」カラクリ

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月29日 10時0分

岸田首相は「日本政治の貧しさ」を感じているのか(夕刊フジ)

政治資金改革をめぐり、与野党が先の通常国会では、パーティー券購入者の公開基準額を「5万円超か」「10万円超か」で議論した。お粗末な永田町の風景、日本人政治家のトンチンカンは「世界の奇形」である。

政治には秘密工作資金が必要だ。派閥こそが政治のダイナミズムをつくり出す源泉である。それらを自ら否定するのだから、岸田文雄首相(総裁)率いる自民党の下野が視界に入った。東京都知事選をはじめ、自民党は各地の選挙で独自の公認候補も立てられなくなった。

日本政治は星雲状態に突入する。

政治も政治なら、官僚も信念がない。国益とは何かを語らず目先の省益にこだわり、為替無策は「未曾有の円安」を招来させた。円安放置の日銀・財務省は無能の塊なのか?

このままでは1ドル=200円は時間の問題ではないのか。通貨安とは三流経済の証であり屈辱なのである。

「安い日本」だから外国人観光客が増えたなどと、はしゃいでいる場合ではない。世界遺産・姫路城(兵庫県姫路市)の入場料(18歳以上=1000円)を、外国人観光客は4倍以上にするという案は賛成だ。

円安、金利安だから、「日本からカネは中国へ流れている」のが実態なのに、このことを大手メディアが伝えないから知らない人が多い。

日本国内の投資を超える巨額資金が、結果的に中国経済の破綻を救っているのだ。からくりは、「円キャリー取引」(=金利の低い円を借りて、すぐドルに換金し、金利高の中国へ貸し付けて、運用益や金利の利ざやを獲得しようとする取引)である。

中国では不動産バブルが瓦解(がかい)し、30億戸の空室があるマンション群はゴーストタウンだ。ところが、中国の不動産デベロッパーは、社債がデフォルト(債務不履行)になっても倒産しない。

株は小康状態を維持し、普通の資本主義国なら起こるはずの暴落がない。対外債務が膨らんでいるのに、まだ人民元が高値圏にある。「ゾンビ経済のミステリー」だが、答えは全体主義にありそうだ。

中国共産党は、人民の預金などを調べており、「株は売るな」と命じ、マンションの値下げ販売も禁止しているという。そして、電気自動車(EV)についても、「お前はEVを買え」「お前は株を買え」などとノルマを課しているというのだが…。

■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『2025年トランプ劇場2・0! 世界は大激変』(ビジネス社)、『AI VS 人間の近未来』(宝島社)、『悪のススメ―国際政治、普遍の論理』(ワニブックス)など多数。

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