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柴田惣一 今日も一緒にプロレスを楽しみましょう! 「生傷男」ディック・ザ・ブルーザー、怪物を想起させるキャッチフレーズの代表格 馬場・猪木の「BI砲」から王座奪還も

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月11日 6時30分

若き日のアントニオ猪木(左)を攻めるディック・ザ・ブルーザー=1968年2月(夕刊フジ)

11月10日は「生傷男」ディック・ザ・ブルーザーの命日。1991年に62歳で亡くなった。

65年に日本プロレスに初来日。力道山亡き後のエース候補、ジャイアント馬場とインターナショナルヘビー級王座を争うなど、トップ外国人選手として活躍した。「ぶっ壊し屋」クラッシャー・リソワスキーとのコンビで馬場・猪木のBI砲からインターナショナルタッグ王座を奪っている。

185センチで118キロ。ゴツゴツしたまるで岩のような頑丈な体をフル回転させパワーみなぎるファイトで魅了。葉巻をくわえビールをラッパ飲みするパフォーマンスも人気だった。

酒場の用心棒をしており体中にけがが絶えなかったのが「生傷男」の由縁である。昭和のプロレス界は日本人vs外国人の構図がメインだった。来日する外国人選手の豪快なエピソードがまことしやかに伝えられた。個性あふれる怪物を想起させるキャッチフレーズも楽しませてくれた。「鉄の爪」フリッツ・フォン・エリック、「黒い魔人」ボボ・ブラジル、「魔王」ザ・デストロイヤー、「荒法師」ジン・キニスキー、「地獄の料理人」ハンス・シュミット、「不沈艦」スタン・ハンセン、「超獣」ブルーザー・ブロディ…。枚挙にいとまがないが、恐怖心をあおられながらもワクワクしたものだ。

悪い外国人ばかりではない。強くて紳士もいる。「神様」カール・ゴッチ、「鉄人」ルー・テーズ、「鳥人」ダニー・ホッジ、「人間風車」ビル・ロビンソン…。日本陣営に加わる外国人選手もいたが、今思い出しても、秀逸なキャッチが並んでいる。

平成を経て令和となり、日本人の外国人への想いも変わった。若いころから海外旅行を楽しみ、昨今はインバウンド全盛時代。街中に外国語があふれ、外国人との交流も珍しくなくなった。

かつては若手選手の修行といえば海外遠征。米国、メキシコや欧州マットで活躍しハクをつけて凱旋するのが常だったが、今や外国人選手が日本マット界に憧れ弟子入り。長期滞在し名前を売って米WWE進出や母国への帰国を目指す若者も多い。

日本が世界プロレス界の中心のひとつとなったことで、外国人レスラーに求めるものも様変わり。怪物のような選手は影を潜め、体形など格好良さが優先されている。イケメンならもっと良い。ファンも日本人、外国人を問わず応援しブーイングしている。時が進めば、何事も変わっていくのは自然の流れ。現代プロレスも魅力たっぷりだ。

ただ外国人選手のキャッチフレーズも時代の風を反映したシャレたものが目立つ。耳当たりも良いのだが、ピンとこない人もいるのではないか。「生傷男」のゴツイ顔に体が懐かしい。 =敬称略 (プロレス解説者・柴田惣一)

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