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日本名優列伝 中尾彬という俳優 俳優・中尾彬の映画デビュー作は少女に振り回されて死ぬかわいそうな結末 加賀まりこ主演「月曜日のユカ」(1964年)

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月23日 6時30分

ワイルドかつかっこよさも持った人だった(夕刊フジ)

池波志乃とのオシドリ夫婦で知られた俳優の中尾彬が心不全のため81歳で急逝したのは今年5月のことだった。ネクタイ嫌いで知られ、スカーフやマフラーをねじって首に巻いた、池波が「ネジネジ」と呼んだトレードマークの独特の感性はもう見られなくなった。そんな中尾の業績を振り返ってみる。

木更津一高時代はバレーボール部の主将を務めた活発な性格だが、県の絵画コンクールに入選するなど静と動の性格をあわせもっていた。当然のように武蔵野美術大学油絵学科に入学。同時に日活第5期ニューフェースにも合格。同期には高橋英樹がいた。

実はJR日暮里駅にある有名な「夕焼けだんだん」の谷中銀座に連なる「よみせ通り商店街」のアーチには地域のシンボルになっている地蔵さまの絵があるが、これは中尾が描いている。中尾は愛する妻が育った下町が大好きだったのだ。

さて日活に入社したものの画家への夢を捨てきれず大学を中退するとパリに留学してしまう。それも途中で打ち切って帰国する。そして劇団民藝に入団するが、この振り幅は若さゆえの迷いだったのだろうか。

そこへ映画デビューの話が舞い込む。それが加賀まりこ主演の「月曜日のユカ」(1964年)だった。「狂った果実」を撮った中平康監督が、今度は18歳の少女の刹那主義的な自由奔放な生き方に焦点をあてた。

日曜日に家族と一緒に買い物をしている彼氏の修(中尾)を見つけてストーカーするユカ(加賀)。修の娘に嫉妬するが、彼もそれを承知でユカと付き合っている。修はユカが別の男と寝ることを知って、抗議に行く途中、海に落ちて死ぬ。

倫理観もへったくれもない物語だ。それにしても若いころの中尾は二枚目だったということが分かる。結局ユカに振り回されてかわいそうな結末になるが、ユカのパトロン役の加藤武も同じように溺れて死ぬのだから、なんとも言えない。

ヌーベルバーグの影響を受けて「狂った果実」を撮った中平監督だが、この「月曜日のユカ」が逆に本家のフランス映画に影響を与えたという。

「学園広場」の斎藤耕一と倉本聰が共同で脚本。これにもちょっと驚かされる。 (望月苑巳)

■中尾彬(なかお・あきら) 俳優。1942年8月11日~2024年5月16日。81歳没。千葉県出身。61年に武蔵野美術大学油絵学科へ入学。同年に日活ニューフェース第5期に合格。翌年に日活を退社、大学を中退してフランスへ留学する。63年に帰国して劇団民藝に研究生で入団。1971年に民藝を離れ、各映画会社やテレビドラマで活動を始める。妻は女優の池波志乃。

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