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海老原清治のNO GOLF NO LIFE 欧州シニアツアー参戦、英会話力なかったことがプレーに奏功 ティーオフ前に挨拶、あとは自分のプレーに徹すればよかった

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月8日 11時0分

イラスト・太田秀明(夕刊フジ)

欧州シニアツアーに本格参戦し、英会話には日を重ねるごとに慣れていきました。

ホテル宿泊の手続きや外食では、尋ねられる内容がほとんど変わらないからです。ホテルなら部屋のタイプ、宿泊人数と宿泊数ですし、外食も人数さえ伝えれば、後はメニューを指させばオーダーできます。

ラウンドプレーでは、英会話がうまくできなかったのが奏功したと思います。ティーオフ前に挨拶を交わしさえすれば、あとは同組選手の妨げにならないようにして、自分のプレーに徹すればよかったからです。

日本ツアーでは、毎試合「頑張ろう!」の気持ちが強く、顔見知りの選手とのプレーになるため「負けたくない」という心理がどうしても働いてしまいます。速報版がチラリと目に入ると、読み慣れている漢字ですから、読もうとしなくても、一瞬で自分の順位も誰が何位なのかも分かります。それによって焦ったり、プレッシャーを感じたりすることが少なくなかったのです。

一方、欧州シニアツアーの速報版は選手名がアルファベット表記ですから、パッと見では読めないし、理解できません。おかげで速報版によって気持ちが揺れることはありませんでした。

ティーショット後に選手が同伴競技者と会話しながら歩を進めるシーンを見たことがあると思います。僕も日本ではそうしていましたが、欧州ではその輪の中に加われるほどの英会話力がなかったことで5~10歩ほど遅れて後ろを歩くのが常でした。

しかし、そのために前を行く選手の心理を分析することもできました。『スコアを伸ばせずイライラしている』『優勝争いのプレッシャーを感じているな』とかが、後ろ姿から面白いように理解でき、その分僕は冷静さをキープできました。精神的な余裕が生まれ、試合の流れも読むことができます。攻める、守るのメリハリあるプレーに徹することができたのです。

先頭を歩くのは自分の世界に入りやすい一方で、周りが見えなくなりやすいものです。冷静さを保てない一面もあります。その点、最後尾は野球に例えるなら要のポジションである捕手のようで、すべての選手を把握できるのです。自分を見失わず、終始冷静な判断とプレーができたことが、本格参戦2年目での欧州シニアツアー初優勝につながったと思います。

(構成・フリーライター伝昌夫)

■海老原清治(えびはら・せいじ) 1949年4月2日生まれ、千葉県出身。中学卒業後に我孫子ゴルフ倶楽部に入り、20歳で日本プロゴルフ協会プロテストに合格。85年の中日クラウンズでツアー初優勝。2000年から欧州シニアツアーに本格参戦し、02年に3勝を挙げて賞金王に輝く。20年、日本プロゴルフ殿堂入り。174センチ、74キロ、血液型A型。我孫子ゴルフ倶楽部所属。

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