勝負師たちの系譜 将棋「最年少永世王位」でとんでもない記録への期待 タイトル戦ほとんど負けなしの藤井聡太王位、何歳で全冠になるのか
zakzak by夕刊フジ / 2024年9月7日 10時0分
王位戦第5局は8月27、28日、神戸市有馬温泉「中の坊瑞苑」で行われ、藤井聡太王位が挑戦者の渡辺明九段に勝ってタイトルを防衛。同時に最年少の22歳1カ月で、王位5連覇により、永世称号を獲得した。
この将棋は後手の渡辺が雁木で持久戦を目指すのに対し、藤井は囲いが中途半端なまま仕掛けて、急戦模様に。渡辺の反撃を藤井は玉が先頭に立って受け、反撃を封じると駒得をしながら反転攻勢に出た。
後手は居玉のままの受けになったが、次第に受けがなくなり、最後は必至をかけられて投了となった。
終わってみれば、藤井は一度も形勢が悪くなることなく、形勢の針がきれいな藤井カーブを描く完勝となった。
シリーズを振り返ると、やはり第1局で渡辺が最後、詰みを逃したのがすべてだった気がしてならない。
以前も触れたが、その将棋は相手の王手に逃げ間違えなければ、いわゆる初段コースの問題という、易しい詰みだった。
終盤では上に逃げるという、プロの習慣が間違えさせたのだが、AIの評価はその手を指しても変わらなかった。AIでは詰みがあれば難易度関係なく、勝つ確率は100%なのだ。
しかし人間は違う。難しい五段コースの詰みでも、最初からそのつもりで考えれば、渡辺が逃すはずはない。しかし間違えなければ易しい詰みだったことに気が付くと、それを後悔しながらの思考になって、特に秒読みの中では間違えることがある。
第1局はまさにそのパターンで、渡辺は勝ちを逃した。
第2局は藤井がこれほど完璧に負けたのは見たことがない、という程の渡辺の快勝だった。しかし第3局で、難しい終盤ながら、渡辺が勝ち筋を逃して敗れると、後はいつもの苦手な対藤井戦になってしまい、結局1―4で渡辺は敗れた。
永世王位は、大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、羽生善治九段に次いで4人目だが、22歳は最年少だ。
羽生がタイトルの永世称号の全冠(当時は7つ)を得たのは、47歳の時だったが、タイトル戦をほとんど負けない藤井が何歳で全冠になるのか。
とんでもない記録が出るのではないか、という期待がある。
■青野照市(あおの・てるいち) 1953年1月31日、静岡県焼津市生まれ。68年に4級で故廣津久雄九段門下に入る。74年に四段に昇段し、プロ棋士となる。94年に九段。A級通算11期。これまでに勝率第一位賞や連勝賞、升田幸三賞を獲得。将棋の国際普及にも努め、2011年に外務大臣表彰を受けた。13年から17年2月まで、日本将棋連盟専務理事を務めた。
この記事に関連するニュース
-
【王座戦】藤井聡太王座「比較的良い状態で迎えられる」第1局 永瀬拓矢九段には15勝7敗
日刊スポーツ / 2024年9月4日 9時35分
-
不安一掃の快勝譜! 藤井王位が圧巻読み切りで5連覇達成 伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負第5局
マイナビニュース / 2024年8月29日 11時30分
-
藤井「急所見抜ける力つけたい」 将棋の王位、二つ目の永世称号
共同通信 / 2024年8月29日 11時6分
-
藤井聡太、二つ目の永世称号獲得 王位戦5連覇、5人目の複数冠
共同通信 / 2024年8月28日 19時47分
-
藤井聡太王位、5連覇に王手 将棋、渡辺明九段を破り3勝目
共同通信 / 2024年8月20日 18時50分
ランキング
-
1〈政治家を志した元女子アナが転落死〉「誹謗中傷とデマに悩んでいた」慶応ミスコン出身、外資系コンサルにも勤務、華々しい経歴も衆院補選の公認が一転取り消しに
集英社オンライン / 2024年9月10日 17時20分
-
2滝川クリステルの旧習にとらわれない姿勢 選挙区の横須賀では「一度も顔を見せないのはどうか」の声、小泉進次郎氏は「それぞれの人間性を大事にしていきたい」
NEWSポストセブン / 2024年9月14日 7時15分
-
3店に行っていないのに万引き疑いで男性を誤認逮捕、先入観で防犯カメラ確認も不十分…その後男性の知人逮捕
読売新聞 / 2024年9月14日 6時50分
-
4自民総裁選9候補が討論=政治改革・経済政策テーマに
時事通信 / 2024年9月14日 13時18分
-
5「2004年に閉園したテーマパーク」現在は“心霊スポット”に… 創業者の想いは火事で焼失
日刊SPA! / 2024年9月14日 8時54分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください