1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 政治

さらば、夕刊フジ 「楽しい日本」掲げる石破首相〝無能な指導者〟を擁して転落してゆくのか…今が分岐点 日米両首脳の誕生に歴史の不思議な符牒

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月25日 10時0分

小川栄太郎氏(夕刊フジ)

文芸評論家・小川榮太郎氏

石破茂首相の誕生と、ドナルド・トランプ大統領の誕生―。私はこの同時現象に、歴史の不思議な符牒(ふちょう=合図)、逆説的な意味での「日本の蘇生(そせい)の可能性」を見る。

トランプ氏の就任演説で最も重要なのは、次の一節であろう。

「私は今日、一連の歴史的な大統領令に署名する。これらの措置により、われわれは米国の完全な修復と常識の革命を始める。全ては常識につきる」

常識の革命―。まさに、われわれ保守主義者が唱えてきた本質的な思想であり、今回トランプ氏はそのようなアンチ・イデオロギーの立場を明確に打ち出した。

第1次政権の安倍晋三首相が「戦後レジームからの脱却」を標榜(ひょうぼう)して1年で挫折し、第2次政権でイデオロギー色を封印したのとは逆に。

時あたかも石破首相による施政方針演説の骨子が固まったとの報道があったが、石破首相はその中で、「楽しい日本」を掲げるそうである。今の幼稚化した日本人相応なのかもしれないが、こうした見識も政治目標もない指導者の周りには助言者が群がり、ヴィジョンなき派手な政策の安売りが始まる。この度、石破首相は「令和の日本列島改造」を提唱すると報じられているが、これがその皮切りになるのだろう。

石破首相が唱える「産官学の地方移転」「女性・若者の地方移住」などは国家の構造改革に他ならない。

今、日本は安倍―岸田(文雄前首相)路線による構造的なデフレ脱却と一連の産業政策による経済の好循環、一方で外交安全保障政策の強力な継承の両輪の他に、政府が国家的な主題を持つ余力はない。

少子高齢化の急激な進行の中で、地方が再生する程の就業世代の地方移転が可能とは思われない。産官学の地方移転という構造転換は、もし本格的に取り組むならば巨大な先行投資を必要とする。地方がさびれ続けたのにはそれだけの理由があったのであり、その周到な解析も中長期的なヴィジョンもないまま大きな政策を掲げても、スローガンと予算だけが独り歩きする結果は目に見えていよう。

トランプ氏によるイデオロギー革命と、かくも愚かな日本の指導者の誕生が重なったことを、私は安倍氏による二十年来の「漸進主義(=社会体制を合法的で平和的な方法によって部分的に改良・修正しようとする立場)の時代」が終わった天意と見る。

バランスの時代は終わった。

トランプ革命に匹敵する保守革命により、日本を回復させるか、さもなければ安倍―岸田路線という穏健な叡智の政治の後に、無能な指導者を擁して転落してゆくのか。いずれかを私たちは選ばねばならないだろう。

その厳しい分岐点に立つ今、我が戦友だった夕刊フジが休刊となる。

感謝と無念の思いを託して、最後の寄稿の筆を擱(お)く。

小川榮太郎(おがわ・えいたろう) 文芸評論家。1967年、東京都生まれ。大阪大学文学部卒。埼玉大学大学院修了。国語や文学の衰退など日本人の精神喪失に対して警鐘を鳴らす。一般社団法人「日本平和学研究所」理事長を務める。第18回「正論新風賞」、第1回「アパ日本再興大賞特別賞」を受賞。著書に『安倍晋三の遺志』(かや書房)、『「保守主義者」宣言』(扶桑社)、『左巻き諸君へ! 真正保守の反論』(飛鳥新社)など多数。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください