元文春エース記者 竜太郎が見た! 嵐・二宮和也が怒り「家族の〝七五三参り〟」子供にモザイク処理で報じた週刊誌 自問自答、芸能人プライバシー侵害の〝境界線〟
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月12日 11時0分
嵐の二宮和也(41)が投げかけた苦情(11月2日のXへの投稿)が大きな波紋を呼んでいる。
家族とのプライベートを「盗撮された」とし、<今回の事に関しては到底理解出来るものではありません>と長文で抗議したのだ。
「名指しはしていませんが、写真週刊誌『FLASH』が二宮夫妻と娘の〝七五三参り〟を報じたことを指している。マナーやモラルは守らなくていいのかと怒り心頭です」(ワイドショーデスク)
子供にモザイク処理をしたことにも触れ、<ただ、環境や理由がどうあれ一般人である家族は写すのだけはやめてください>とも。
この投稿には47万いいね、8000件以上のリポスト、ネット上のアンケートでは「マスゴミ」という非難とともに、彼を支持するという意見が75%あった。コンプライアンス意識が高まる中、この結果は当然と言えよう。弁護士などからも「プライバシー侵害になりうる」という指摘もあり、もはや芸能人の家族写真はNGという風潮が形成されつつある。
「かつては芸能人の家族風景は芸能マスコミのキラーコンテンツで、入学式や運動会、正月のハワイ旅行などに多くのカメラマンが動員されました。競うような取材攻勢でしたが、この10年でその手の仕事はほぼ消滅した」(フリーカメラマン)
週刊誌出身の筆者もこうした状況について批判含みでよく問われる。以前から私が話していたのは、子供の写真はNG、モザイクかけてもダメだということ。誘拐の危険もあるし、イジメの対象にもなりかねない。そこは週刊誌側もスタンスを改めなければならないだろう。
実際、業界内でプライバシー配慮の姿勢は強くなっているし、実は目の敵にされる週刊誌よりインフルエンサーのほうがコンプラ無視が目立っている。
では、芸能人が主張するプライバシー侵害は、すべて正しいかというと首をかしげてしまう部分がある。なぜなら、芸能人はプライバシーを切り売りしてビジネスに結びつけている側面があるからだ。
私生活を語り、すてきな家族イメージからCMを獲得する場合もある。都合のいいところはよくて、それ以外は絶対に許さないというのはずいぶん利己的に見える。また、熱愛を水面下で仕掛けて話題作りするためにメディアを利用する芸能人もいる。週刊誌を悪者にして壊滅させれば、清く正しく美しい社会になるかというと、そんな単純なものではない。
私生活を一切語らず、作品や芸のみで表現する芸能人だけいれば、世の中全員が満足なんだろうか。筆者はたびたび自問自答しているが、明確な境界線は引けないでいる。
こうした議論が湧くたびに反省もするが、強くて影響力のあるものに隷属する流れには、もやもやとした危うさを感じてしまうのである。
■中村竜太郎(なかむら・りゅうたろう) ジャーナリスト。1964年1月19日生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から文藝春秋「週刊文春」編集部で勤務。NHKプロデューサーの巨額横領事件やASKAの薬物疑惑など数多くのスクープを飛ばし、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」の大賞受賞は3回と歴代最多。2014年末に独立。16年に著書「スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ」(文藝春秋)を出版。現在、「news イット!」(フジテレビ系)の金曜コメンテーターとして出演中。
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