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徹底解説・第6弾 男性更年期 患者はどうやって克服したか 2型糖尿病予備軍からの脱却、ホルモン補充療法でやる気を取り戻した 新古賀病院・長明比祐子医師に聞く

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月10日 15時30分

ゴルフをする気力を取り戻し、メタボを克服した人もいる(夕刊フジ)

男性ホルモンのテストステロンが低下して引き起こされる男性更年期障害(LOH症候群)は、生活習慣病と関係が深い。テストステロンが低下すると筋肉量が減って代謝が落ち、内臓脂肪がつきやすくなるのがひとつの要因。加えて、血糖値を下げるインスリン(膵臓で作られるホルモン)と、テストステロンは負の相関関係と報告されている。

「高血糖の改善には生活習慣の見直しが欠かせません。ただし、2型糖尿病予備軍といわれる境界型糖尿病では、テストステロン補充療法(TRT)を行うと、2型糖尿病への移行を予防できる可能性があります」

こう指摘するのは、新古賀病院(福岡県久留米市)糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師。日本メンズヘルス医学会の理事を務め、新古賀クリニック(同)の「男性更年期外来」や「肥満外来」で、生活習慣病と男性更年期障害を併発した患者も診ている。

境界型糖尿病というのは、将来糖尿病を発症するリスクの高い予備軍のこと。血液検査のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1~2カ月の血糖値を反映し、6・5%以上で糖尿病が強く疑われる。5・7%以上になると境界型の可能性が高まる。

2型糖尿病と男性更年期障害の患者では、次のようなケースが典型的だ。

50代のFさんは、40代までは週末に趣味のゴルフを謳歌していた。早朝に起きて仕事の疲れが残っていても、ラウンドをしているうちに元気がみなぎり、スコアが良ければ、さらに仕事の疲れは吹き飛んだ。

それが、50代を過ぎた頃から早朝起きるのがつらくなった。睡眠時間を確保しても朝起きたときに倦怠感を引きずり、出勤の駅までの徒歩もおっくうで調子が悪い。そんな状態が続いてゴルフができなくなった。週末は家でゴロゴロと寝て過ごすことが多く、週明けまで疲れを引きずる。

「年齢なのか。何かの病気なのか」と不安を抱えていたFさんは、定期健康診断で高血糖と腹囲で「メタボリックシンドローム予備軍」と初めて判定されショックを受けた。ゴルフをやめて運動習慣がなくなり体重が増えていることは感じていた。しかし、自分がメタボ予備軍になるとは想像していなかったのだ。

にもかかわらず、保健指導で食生活の改善を勧められてもFさんはやる気が起きない。見かねた妻の後押しで医療機関を受診し、2型糖尿病予備軍に加え、男性更年期障害の疑いがあることを医師から告げられた。

Fさんは、再びショックを受けたものの、ホルモン補充療法(TRT)を受けると、やる気が蘇ってきた。妻の手助けもあり、生活習慣の改善を行いゴルフも再開。半年後には、増えていた体重が元に戻り、血糖値も正常域に達し糖尿病予備軍から脱却したという。

「2型糖尿病予備軍で男性更年期障害の症状がある人が、TRTを受けて症状が改善することは珍しい話ではありません。生活習慣を見直す気力がない、筋肉量が少なくなったなど、男性更年期障害を疑う症状がある場合は、一度検査を受けてみるとよいと思います」と明比医師は話す。 (取材・安達純子) 【10日発売の「健活手帖37号」でも男性更年期障害の克服術を特集しています】

■明比祐子(あけひ・ゆうこ) 新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長。1988年大分医科大学卒。福岡大学内分泌・糖尿病内科准教授などを経て、2015年徳島大学先端酵素学研究所糖尿病臨床・研究開発センター客員准教授(兼務)、23年から現職。

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