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「1984」エンタメプレイバック 「1分間、時間をください」引退表明の都はるみに異例アンコール、紅白司会・鈴木健二アナ発した言葉 年明け数分前に産まれた流行語

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月9日 10時0分

会場からの「アンコール」に感極まって涙ぐむ都はるみ(中央)。右は鈴木健二アナ(夕刊フジ)

1984年の大みそか。もうあと何分かすれば85年になろうというとき、ひとつの流行語が生まれた。

「私に1分間、時間をください」

第35回NHK紅白歌合戦でのことだ。この年をもって引退することを表明していた演歌歌手、都はるみが大トリを務め、「夫婦坂」を歌い上げ、頭を下げると、会場から「アンコール」の声が上がったのだ。

綿密なタイムスケジュールが組まれている紅白では異例中の異例。本来ならば、アンコールはありえない。しかし、ここで白組司会の鈴木健二アナがマイクを持った。そして大熱弁をふるい、都にもう1曲歌うことを促したのだ。このときに鈴木アナが発したせりふ、それが「1分間、時間をください」だった。

実はこの段取りについて、鈴木とスタッフは細かく打ち合わせていた。都自身はアンコール歌唱をかたくなに拒んでいたが、NHK側が強行突破した形だ。分厚い台本もこの部分は空白になっていたという。

段取りだったとはいえ、このせりふは鈴木のアドリブ。アンコールの演奏が始まるまでの時間を1分と読んでの発言だったという。年明けの3学期、子供たちは何かと「1分間、時間をください」と言っては先生に怒られていたものだ。

ちなみにこの紅白では、この「1分間」発言の後、総合司会の生方恵一アナの「ミソラ発言」も飛び出し、何かと記憶に残る回となった。

この年の音楽界は、わらべの「もしも明日が…。」がオリコンの年間シングルチャートで1位に輝いている。発売は前年の12月だが、着実に売り上げを伸ばした。わらべは、前年の「めだかの兄妹」のヒット後、いわゆる「ニャンニャン事件」で高部知子が脱退し、倉沢淳美と高橋真美の2人になっての再出発だった。

洋楽では、ボブ・ゲルドフの提唱で、英ミュージシャンらが集結し、バンド・エイドとして「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」をリリース。チャリティーブームの先駆けとなり、翌年のUSAフォー・アフリカによる「ウィ・アー・ザ・ワールド」、そして「ライブエイド」とつながっていった。

=おわり

【次週は「永遠のシティポップクイーン 大橋純子の50年」です】

1984年の音楽 第26回日本レコード大賞は、五木ひろしの「長良川艶歌」。最優秀新人賞は岡田有希子「―Dreaming Girl―恋、はじめまして」だった。またチェッカーズが3曲同時に「ザ・ベストテン」にチャートインし、大ブレークを果たしたのもこの年。

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