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ニュース裏表 平井文夫 都知事選に見る〝地殻変動〟勝負を決めた「3つの動画」 既成政党への脅威は石丸氏本人ではなく…国民の「今の政治」への怒り

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月11日 6時30分

蓮舫氏(右)は花束を受け取り、大山とも子・日本共産党都議団長と握手した=5月29日、都庁(夕刊フジ)

現職の小池百合子知事が再選された東京都知事選(7日投開票)。3つの「動画」が印象に残った。

5月27日に立憲民主党の蓮舫氏が出馬表明をしたとき、私は「ひょっとすると勝つかもしれない」と思った。自民党が派閥裏金事件などで支持を失い、4月の衆院3補選では立憲民主党の候補が「3戦全勝」して勢いに乗っていた。

だが、2日後に出た映像を見て、「これはダメだ」と思い直した。

蓮舫氏は都議会共産党の控室を訪れたのだが、ペコペコとお辞儀をして、「ぜひ一緒に、住みやすい、暮らしやすい、明るいあたたかな東京をつくらせていただきたい」とあいさつし、最後には花束までもらってしまった。この映像はテレビだけでなく、SNSでも繰り返し流された。

これまでも、立憲民主党と共産党は選挙協力を行ってきた。確かに、票は増えて当選の可能性は上がる。

だが、共産党の「政権への関与」が現実的になると、有権者はとたんに拒否反応を示す。2021年の衆院選もそうだったが、今回も国政と都政の違いこそあれ、同じパターンだった。

一方の小池氏だが、政策を「AIゆりこ」に語らせたのは、はっきり言ってあまり面白くなかった。だが、「リアルゆりこ」が個人的なことを語るショート動画は非常によくできていた。

特に、小池氏が40代で子宮筋腫によって子宮を全摘出し、「隣の産科から聞こえる赤ちゃんの声を聞いて喪失感を覚えた。だからこそ産みたいと思っている人たちをサポートしたい」とボソボソと語った動画にはグッときた。

小池氏の実績については評価が分かれるし、アンチも多い人だが、自分の「弱さ」を含めたこうしたアピールは有権者の心に強く残る。小池氏はこういうのが実にうまい。

そして、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏。この人が市長時代に新聞記者や議員とやり合う動画を見て筆者は「怖い人だな」と思ったが、実はこれがネットで熱狂的に支持されていると聞いて驚いた。

落選後のテレビ出演でも質問にまともに答えず、ネット上で批判を浴びていた。だが、おそらく石丸氏を支持する人たちは既成政党による政治や大手メディアの報道にうんざりしており、彼らに「立ち向かう」石丸氏を評価している。是非はともかく、石丸氏が165万票をとったという事実は重い。

今回の結果から言えることは、第1に、自民党は都議補選(7日投開票)で擁立した8選挙区で「2勝6敗」だったし、有権者にまったく許してもらえていない。

第2に、立憲民主党はもし政権を目指すなら共産党と手を切らないとダメだ。だが、切れないだろうから政権は獲れない。

第3に、これが一番重要で、自民党およびすべての既成政党にとっての最大の脅威は「既成政党による今の政治が嫌で変化を望む」人たち。すなわち今回、石丸氏に投票した無党派の人たちだ。脅威は石丸氏本人ではなく「今の政治」への国民の怒りだ。

今後、似たような人たちが次々に出てきて、「今の政治をぶっ壊せ」「新しい政治をつくろう」と叫べば、それに乗る人は多いのではないか。政治にとんでもない地殻変動が起きるかもしれない。 (フジテレビ特別解説委員 平井文夫)

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