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杉山大志 再エネ利権を一掃せよ 日本を滅ぼすエネルギー政策 抵抗していた経産省こそが強力な「脱炭素利権」に 中国に利するだけの政治が変わるしかない

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月7日 6時30分

大規模太陽光発電(メガソーラー)の建設現場(夕刊フジ)

巨額に上る再生可能エネルギーの費用。日本政府はこれをさらに何倍にもする構えのようだ。国民経済を破壊する「再エネ利権」は必ずや排除せねばならない。

いま政府は太陽光発電と風力発電を大量導入している。北海道では再エネによる電力が余るため、3兆円を投じて新潟と福島までの海底送電線を建設するという。これだけでも仰け反るが、氷山の一角に過ぎない。

政府は「脱炭素」のために、今後10年間で150兆円の「グリーントランスフォーメーション(GX)投資」を官民で実現するとしている。投資といえば聞こえはよいが、その原資は国民が負担する。これは毎年のGDP(国内総生産)の3%であり、3人世帯ならば累積で360万円にもなる。賃上げなど吹き飛んでしまう。

その再エネ事業のお金の多くは中国企業に流れる一方で、脱炭素は日本の防災にはまったく役立たない。国連のモデルを信じたとしても、日本が2050年にCO2をゼロにしたときの地球の気温の低下は、せいぜい0・006度しかないからだ。

なぜ、政府はこのような、日本を滅ぼすようなことばかりするのか。

菅義偉首相(当時)の下、21年に策定された第6次エネルギー基本計画で、「50年カーボンニュートラル(=CO2排出量を実質ゼロにする)」が目標とされた。

河野太郎規制改革相(同)は21年8月、「再エネ最優先」を掲げ、再エネの導入目標を引き上げるよう、経産省の外局である資源エネルギー庁の幹部を怒鳴り上げた様子を、週刊文春が同年9月に報じている。

日本の官僚は、時の政治権力にめっぽう弱くなった。昇進するか、左遷されるか、彼らにとっての生殺与奪を握られているからだ。それで、かつては「脱炭素」という経済自滅的な政策には抵抗していた経産省が、すっかり宗旨変えした。

いまでは経産省こそが巨大な予算と権限を持った、最も強力な脱炭素利権と化し、先頭に立って日本経済を破壊しているように見える。彼らはもはや、内から自らを変える能力はない。政治が変わるしかない。

左翼リベラル化した一部自民党が主導する政権こそが、脱炭素推進の本丸である。日本の国益を損ない中国を利するだけの勢力を退陣させ、それに代えて、日本の安全保障と国民経済を第一に考える人々にエネルギー政策を任せるべきである。

政治が変われば、経産省の幹部人事も刷新できる。経産省が脱炭素利権にまみれてしまったのは、ここ数年のことに過ぎない。まだ以前のことをよく覚えており、現状に違和感を覚えている優秀な官僚はたくさんいる。政治的な路線転換さえすれば、彼らは日本国民のためによい仕事をしてくれるはずだ。

■杉山大志(すぎやま・たいし) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。1969年、北海道生まれ。東京大学理学部物理学科卒、同大学院物理工学修士。電力中央研究所、国際応用システム解析研究所などを経て現職。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、産業構造審議会、省エネルギー基準部会、NEDO技術委員などのメンバーを務める。産経新聞「正論」欄執筆メンバー。著書・共著に『「脱炭素」は嘘だらけ』(産経新聞出版)、『亡国のエコ』(ワニブックス)、『SDGsエコバブルの終焉』(宝島社新書)など。

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