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マネー秘宝館 電車に忘れ物してわかる「日本の誇り」 訪日外国人には衝撃の神対応、思い出すヨーロッパでのスリ被害

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月17日 6時30分

車中に忘れ物をしても戻ってくる…。日本が誇る〝クール〟な文化(夕刊フジ)

やってしまいました。新幹線の網棚にスーツケースを置き忘れ。ローカル線に乗り換えてから「あっ」と気付いたものの、あとの祭り。幸いスマホは持っていたので、急いでJRの「忘れ物サイト」に届け出しました。そのあとの会食中、なんとJRから電話が掛かってきました。

「お忘れのスーツケース見つかりました」

数時間で見つけて連絡をくれるなんて、何とすばらしい。翌日、指定された駅まで行って無事に受け取りました。ほんと、関係者の皆さまに感謝です。

日本人の私ですらこれほど感動するのですから、インバウンドの外国人が同じ経験をしたら「神対応」に涙するでしょうね。日本はすごい国だと。

幸いなことに、この国にはいまだ「落とし物を届ける」文化が残っています。これは本当に誇るべきことだと思うのです。次世代に受け継いでほしい文化ですよね。

思い出すのは15年ほど前、ヨーロッパ某国に行ったときのこと。そこで「現金をスラれた若い日本人女性」がいました。何でも「ニセ警官」にやられたのだとか。その手口というのが、制服姿の警官(偽物です)がやってきて「君、いまスリにやられなかった? 財布あるか、確認してごらん」と声を掛けられたそうです。驚いてポーチから財布を出すと、「ちゃんとお金、入っている?」。ここで財布を開けたところ、さっとニセ警官の手が出て紙幣をつかみ、彼は一目散に逃げ出したそうです。

ここで「へえ~、制服まで用意するとは凝ってるな」と感心していた私。その数年後にまさか自分がスリ被害者になるとは思ってもいませんでした。

あれはアムステルダムからブリュッセルに向かう特急列車の車中。私は贅沢気分で1等車に乗っていました。そこはワゴンサービスが何度も通路を通るので、邪魔にならぬようカバンを網棚に上げていたのです。列車はロッテルダムで停車しました。停車時間は約5分。ここで私のすぐ後ろにデカいスーツケースをもった数名が乗り込んできました。網棚にスーツケースを乗せる彼ら。……これがすべて「スリ集団」だったのです。

ロッテルダムを発車すると彼らの姿がありません。しかし私のカバンは網棚にちゃんと存在します。それで安心していました。「やられた」と悟ったのは電車を降りてしばらくしてからです。カバンもあるし、財布もある。しかし財布の中の現金だけがきれいに無くなっていました。彼らは「自分の腕を見せつける」ように現金だけ持っていくのです。落ち込みながらも、ニセ警官といい、ニセ旅行者といい、ヨーロッパのスリは手が込んでいるよな、と妙なところに感心したものです。

いまは監視カメラも普及しているので、あの劇場型スリたちも簡単には仕事がしにくくなっているに違いありません。それによってヨーロッパ版オレオレ詐欺が広がってなければいいのですが。泥棒やスリだけは〝進化〟してほしくないものであります。

■田中靖浩(たなか・やすひろ) 公認会計士、作家。三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社勤務を経て独立開業。会計・経営・歴史分野の執筆・講師、経営コンサルティングなど堅めの仕事から、落語家・講談師との共演、絵本・児童書を手掛けるなど幅広くポップに活躍中。「会計の世界史」(日本経済新聞出版社)などヒット作多数。

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