1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 政治

岩田明子 さくらリポート 「点」で動く総裁選、まだ見えぬ「大きな流れ」 河野氏と石破氏には「出馬のハードル」秘書官人事〝凍結〟で広がる憶測

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月3日 6時30分

総裁選のキーマンとされる麻生副総裁(左)と菅前首相(夕刊フジ)

9月の自民党総裁選に向け、岸田文雄首相や「ポスト岸田」と目される有力者の動向が相次いで報じられている。だが、いまだ霧の中だ。「点」としての動きは見られても、大きな流れが見えてこない。

最近の主な動きを整理すると、菅義偉前首相がインターネット番組や月刊誌で、岸田首相に「事実上の退陣要求」を突き付けた。これに対し、岸田首相は、麻生太郎副総裁と2週連続で会食したり、6月27日には会食をはしごして石破茂元幹事長や森山裕総務会長らと会った。党内では「再選に向けた支持を取り付けるための動き」とみられている。

「ポスト岸田」候補の動きとしては、河野太郎デジタル相が麻生氏に総裁選に出馬の意欲を伝え、石破氏も立候補に向け調整していると報じられた。若手・中堅には小林鷹之前経済安保相を推す動きもあるとされる。

確かに、個々の動きは活発化しているが、総裁選には「熱」「羅針盤」「実働部隊」が必要であり、そうした面を牽引(けんいん)する有力者の存在が不可欠だ。つまり、総裁選の「絵」を描くキーマンがまだ見当たらない。菅氏や麻生氏、森山氏といった「役者」はいるが、3氏が誰を担ぐかは明確になっていない。

そもそも、総裁選への「意欲」や「調整」が伝えられた河野氏と石破氏には、「出馬へのハードル」がある。

小泉進次郎元環境相と合わせて「小石河連合」と呼ばれる3氏は、菅氏が「将来の首相候補」として期待を寄せる存在だ。3氏は自民党内で「選挙に強そうな人たち」として支持を集めており、バラバラに出馬しては票が割れるリスクがある。現に、石破氏は前回2021年の総裁選で、菅氏や小泉氏とともに河野氏を支援した。党内支持層が重なるだけに、今後調整を図る必要が出てくるのではないか。

河野氏の場合、別の配慮も必要となってくるだろう。

同じ神奈川県選出で菅氏と近い一方、自民党で唯一、派閥として存続する麻生派に所属している。菅氏と麻生氏は「政治的距離」が伝えられており、どちらについても「板挟み」の状況となる。さらに、岸田内閣の現職閣僚であることも、表立った動きを取りにくくしている

派閥解消の影響もあり、今回の総裁選はかつてないほど読みにくい展開となることが予想される。今後の注目点の一つは、岸田首相が総裁選への態度をいつ明確にするかだ。

安倍晋三元首相と菅氏は、総裁選直前に首相退陣を表明した。総裁選は大いに盛り上がり、直後の世論調査で内閣支持率が急上昇した。その結果、自民党は今に至るまで政権を維持してきた側面がある。

岸田首相は8月、カザフスタンを訪問して、中央アジア5カ国との首脳会合に臨む。モンゴル訪問も調整している。官邸の秘書官人事も凍結されたとの情報がある。こうした日程を考慮すると、岸田首相の決断は蝉(せみ)の鳴く頃になると思われる。その判断が、総裁選のターニングポイントとなるのではないか。

■岩田明子(いわた・あきこ) ジャーナリスト・千葉大学客員教授、中京大学客員教授。千葉県出身。東大法学部を卒業後、1996年にNHKに入局。岡山放送局で事件担当。2000年から報道局政治部記者を経て解説主幹。永田町や霞が関、国際会議、首脳会談を20年以上取材。昨年7月にNHKを早期退職し、テレビやラジオでニュース解説などを担当する。月刊誌などへの寄稿も多い。著書に『安倍晋三実録』(文芸春秋)。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください