1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

徹底解説・第3弾 男性更年期・治療と予防 体脂肪が増えると…精巣を刺激するホルモンが減る テストステロンも低下 メタボや肥満症と一緒に予防、男性更年期障害

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月13日 15時30分

新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師(夕刊フジ)

新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長 明比祐子医師に聞く

飲食は楽しい。おいしい料理でお酒がすすめば、仕事のストレスも吹き飛ぶという人も多いだろう。だが、気ままな飲食を続けた結果、体重が増えると、いつしか高揚感は薄れ、外食する元気もなくなる。それだけでなく、仕事への意欲も失われることになる。そんな状態に潜むのが男性更年期障害(LOH症候群)だ。男性ホルモンのテストステロンが低下することで心身にさまざまな悪影響を及ぼす。

「肥満やメタボリックシンドロームと、テストステロンの低下は双方向の関係にあります。それを多くの人に知っていただきたいと思います」

こう話すのは新古賀病院(福岡県久留米市)糖尿病・甲状腺・内分泌センター長の明比祐子医師。日本メンズヘルス医学会の理事で、『LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き』(医学図書出版)の作成委員でもある。

「体脂肪が増えると、精巣を刺激する脳の下垂体から分泌されるホルモン(ゴナトロピン)が減り、テストステロンの分泌量が減るのです。テストステロンが減ると、筋肉量が減って代謝が落ち、脂肪が蓄積し、高血糖、高血圧、脂質異常症が起こりやすい状態になり、メタボリック・シンドロームに向かうのです」

メタボは、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上で、①血圧130/85以上、②空腹時血糖110mg/dl以上、③脂質異常症(中性脂肪150mg/dlかつ、またはHDLコレステロール40mg/dl未満)の3項目のうち、2項目以上の該当が診断基準。つまり、必要以上に内臓脂肪がたまり、生活習慣病を併発しているのがメタボであり、知らぬ間にテストステロン値も低下しているというのだ。

一方、肥満はBMI(体格指数=体重キログラム÷身長メートルの2乗)が「25」以上を指す。ただし、単に体重が多いだけでは病気とはいえない。肥満に高血圧や糖尿病など肥満に関連した健康を害する合併症があると、「肥満症」という病名になる。この肥満症でもテストステロン値は当然下がりやすい。

では、単なる肥満はどうか。

「日本人の場合、BMI25以上でテストステロン値が下がるというデータがあります。肥満の場合は、体重を適切に落とせばテストステロン値も正常に戻りやすくなります。もちろんメタボも、食生活の見直しで体重が落ちれば良くなりますし、テストステロン値も上がります」

体重を落とすために一念発起し、食事を減らしたり、ダイエット食品を取り入れる人もいるだろう。だが、食事だけで体重を落とすのはよくない。

「食事制限だけのダイエットは筋肉量を減らし、基礎代謝が下がるため痩せにくくなり、さらに食事制限を止めたときにリバウンドしやすくなります。筋肉量の減少に伴って身体機能が低下するサルコペニアにもつながり、テストステロン値も上がりにくくなるので注意が必要です。食事制限だけでなく、ウオーキングや筋力トレーニングなどの運動にも取り組むようにしましょう」

食事と運動、そして睡眠など生活習慣の見直しで、メタボや肥満症と一緒に男性更年期障害も予防できるのだ。 (取材・安達純子) =あすにつづく

■明比祐子(あけひ・ゆうこ) 新古賀病院糖尿病・甲状腺・内分泌センター長。1988年大分医科大学卒。福岡大学内分泌・糖尿病内科准教授などを経て、2015年徳島大学先端酵素学研究所糖尿病臨床・研究開発センター客員准教授(兼務)、23年から現職。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください