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宮崎正弘 世界大混乱・悪の論理 米国で異質の〝閉店ブーム〟大統領選、有権者の関心事は不法移民へ 15万円未満の万引きは釈放…近未来を予兆、絶望映画が大ヒット

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月25日 6時30分

11月の米大統領選まで半年を切った。

ドナルド・トランプ前大統領の裁判の有罪判決も、ロシアのウクライナ侵略も、イスラエル軍とイスラム組織ハマスが戦闘を続けるパレスチナ自治区ガザも眼中になくなった大半の有権者の関心事は何か。

不法移民問題である。

インフレは現職のジョー・バイデン大統領に不利だが、争点は不法移民に加えて、LGBTQ、中絶、銃規制、大学ローン減免…。外交は蚊帳の外だ。

同性婚に前向きのカリフォルニア州、キリスト教的価値観の強い南部14州は中絶そのものを禁止している。「米国の分裂」は明らかで、南部諸州はテキサスへ州兵を派遣した。不法移民が流入するテキサス州の国境警備の応援である。連邦政府軍が何もしないのなら、各州は「自分たちで州の利益と州民の生命と財産を守る」のだ。

バイデン氏がいくら獅子吼(ししく)して(=雄弁を振るって)も、イスラエル支援世論は真っ二つに分裂している。ウクライナは介入にほとほと飽きて、バイデン氏はスイスでの「世界平和サミット」を欠席する始末だった。

百貨店の閉店は以前から伝えられていた。ディスカウントストアや郊外のショッピングモールの隆盛は終わった。量販店も一時の勢いがない。ネットで買い物ができる時代には、書店も続々と店を畳んだ。これらは日米共通である。

しかし、現在米国で起きている小売業の「閉店ブーム」はこれまでとは異質である。銀行と証券の閉店は明らかにネット取引に移行したからで、フィンテック(金融と人工知能=AI、情報技術=ITを融合した金融サービス)の結末だろう。

ドラッグストアの相次ぐ店じまいの原因は、「治安の悪化」「万引の横行」である。カリフォルニア州では、950ドル(15万円弱)未満の万引はその場で釈放で、経営が成り立たなくなった。不法移民の強盗、殺人、略奪、レイプ事件が頻発しても報道されない。

「不法移民」という語彙は使われず、移民に優しく予算もふんだんにつけてきた。

こんな状況だから、ハリウッド映画「CIVIL WAR(内戦)」が大ヒットした(日本公開は10月4日)。

あらすじは、連邦政府から19州が独立し、カリフォルニア州とテキサス州が、首都ワシントンDCを攻撃する。州軍はジェット戦闘機も戦車もミサイルも持っている。大統領は暗殺され、議会は破壊される。近未来の米国を予兆するような暗い絶望の映画を、列をつくって見に行く米国人って何を考えているのか?

宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『2025年トランプ劇場2・0! 世界は大激変』(ビジネス社)、『AI VS 人間の近未来』(宝島社)、『悪のススメ―国際政治、普遍の論理』(ワニブックス)など多数。

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