バフェットの次を行く投資術 ＩＴ業界を変革する「ノーコード」 プログラミング言語や複雑な操作を知らなくても自分で「オーダーメード」できる時代へ

サイボウズ（４７７６）という社名よりも、同社の主力商品である「キントーン」の方がよく知られているかもしれない。業務を効率化するためのクラウドサービスで国内シェアが高い企業だが、「キントーン」はプログラミングを行わずに（直感的な操作で）必要なプログラムを組めるノーコードであるところが強みだ。つまり、「ユーザー・フレンドリー」であるのだ。

昔のハリウッド映画では「自動車がエンストを起こして立ち往生している美女が、ウィンク一つで紳士が運転している車を止めて手伝ってもらう」というシーンがよくあった。それだけ自動車の完成度が低く、素人の女性には扱いづらいものであったということだ。

実際、筆者が自動車免許を取得する以前は、万が一のためにボンネットの中のエンジンなどの機械の構造をしっかりと頭に入れておく必要があった。

だが、今や少なくとも「メイド・イン・ジャパン」、その中でも特にトヨタ製の自動車がエンストを起こすことはほとんどない。また、万が一そのようなことが起こってもＪＡＦ（日本自動車連盟）が電話一本で駆けつけてくれる。昔に比べれば自動車はとてつもなく「ユーザー・フレンドリー」になった。

ＩＴ・インターネットも、過去四半世紀以上で「革命的」とも言える進歩を遂げた。そして、コンピューター言語や複雑な操作を知らなくても「使いやすいプログラムを自分で『オーダーメード』できる」時代に突入しつつある。

また、キントーンと連携できるサービスは２００種類以上ある。

これまでは、業務担当者がＩＴエンジニアにプログラムの作成を依頼するときに「業務で本当に必要とされる機能」を説明することが大変であった。もちろんＩＴエンジニアが「業務内容」を知らないのが当然だからだ。しかし、ノーコードで業務担当者自身がプログラムを組めるのであればそのような問題は生じない。この「ノーコード」が、今後どのようにＩＴ業界を変革していくのかに注目している。　（人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩）　＝敬称略