中国ドローン盗撮動画、世良光弘氏「『100%本物』と感じた」 〝空母〟いずも無防備露呈 3月末に映像拡散、分析に時間
zakzak by夕刊フジ / 2024年5月9日 15時30分
海上自衛隊最大級のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」をドローンで撮影したような動画が中国の交流サイト(SNS)で拡散した問題で、防衛省が、ドローンが上空に侵入して撮影した可能性があると分析していることが分かった。防衛省は9日開かれる自民党の国防部会と安全保障調査会の合同会議で経緯を報告する。防衛施設への侵入を許したことに加え、3月末の映像拡散から分析に時間がかかったことも問題だ。
「映像が悪意を持って加工、捏造(ねつぞう)されたものである可能性を含めて現在分析中だ」
木原稔防衛相は4月2日の記者会見でこう語っていた。
防衛関係者らによると、拡散した動画は約20秒間で、海自横須賀基地(神奈川県横須賀市)所属で、同基地に停泊していた「いずも」を上空からドローンで撮影したものとみられる。画面には、中国のサイト「bilibili」の表記があった。
「いずも」は全長248メートルで、飛行甲板を備えた自衛隊最大級のヘリコプター搭載護衛艦だ。中国海軍の海洋進出など、日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、同艦は、最新鋭戦闘機「F35」も艦載機として運用できる「空母化」の改修を数年間で完了する予定だ。
日本では、自衛隊基地の区域周辺などで無許可のドローンの飛行は禁止されている。動画では「いずも」上空の艦尾から接近し、甲板の上の様子や、横須賀基地の建物などが鮮明に映っている。
日本の国防の核を担う艦船が〝盗撮〟された事態をどう見るのか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「映像を見て『100%本物』と感じた。停泊中の艦船の鮮明画像が撮影されれば、発着可能な航空機のスペックなどが推定され戦闘能力などが分かってしまう。構造などの重要機密が人民解放軍側などに露見したのなら確実で重大な事態。法律の厳格化や物理的な防御策を含め、再発防止が急務だ」と語る。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏も「ウクライナの戦況を見ても、ドローンの存在は大きくなっている。あれだけ至近距離で鮮明な映像をとられており、他国が見れば『有効手段だ』と理解するだろう。自衛隊はかねてドローンへの対処が遅れていた」と指摘した。
映像の分析に時間がかかったことはどうか。
潮氏は「国民は『対応に時間がかかりすぎている』と感じるだろう。ただ、生成AIの出現により、映像の真偽の判断も断定が難しくなっているのは事実だ。今回の事案は、自衛隊に多くの重大な課題を突き付けた。対応には、妨害電波なども有効になるだろうが、誰が撮影して拡散したかを特定することが必要だ」と語っている。
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