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列島エイリアンズ 訪日ブーム斜陽編(2)1杯700円で2時間も〝シブチン訪日客〟の実態 有名店より「安居酒屋で日本人の酔っ払いと楽しみたい」

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月9日 11時0分

訪日外国人のフトコロ事情に異変あり=浅草寺(東京都台東区)(夕刊フジ)

訪日客に沸くニッポン―。国交省によると、2024年4―6月期の訪日外国人1人当たりの旅行支出は23万8722円で、パンデミック以前と比べて5割以上増加している。ところが、それぞれ時点での相場で米ドル換算してみると、その増加率は10%未満にとどまっているという〝不都合な事実〟を前回(1日発行)指摘した。つまり、円安という「バーゲン価格」であるにもかかわらず、訪日外国人の財布のひもは、ほとんど緩んでいなかったのだ。

この事実は、仮に今後、ドル円相場が一段と円高に振れた際には、現在の訪日ブームが収縮してしまう可能性を秘めている。

渋谷区内にある立ち飲み式バーの女性従業員も、〝シブチン訪日客〟の実態についてこう明かす。

「少なくともうちみたいな安い店にくる外国人旅行者は、カネ払いがいいとは言えない。1杯700円のジントニックで2時間近く粘られることも少なくありません。そういう外国人は、たいてい『円安のおかげで長年の夢だった日本旅行にこれた』というお客さん。ただ、燃油サーチャージの高騰などで渡航費用としては過去に比べて負担が増えているため、旅行中は倹約に徹するのでしょうね」(女性従業員)

訪日客の支出が頭打ちなのは「倹約」だけが理由ではなさそうだ。浅草で営業する人力車の車夫が指摘する。

「こちらから訪日外国人に声をかけて乗ってもらえる確率は、コロナ前の半分くらいになった印象です。今は、人力車などのベタな観光旅行は敬遠されて、街に溶け込むように旅行する外国人が多い印象。浅草散策なら、レンタサイクルで回る外国人が多い」

さらにこの車夫によると、そうした傾向は別業界でも同様だという。

「老舗の有名飲食店に行くより、地元の安居酒屋で日本人の酔っ払いに混じって楽しみたいという外国人が増えている。パンデミック前に外国人客でにぎわったこの界隈の着物レンタル業もかつてほどの勢いはありません」

コロナ禍収束以降、円安を背景に訪日外国人が増えていることは事実だが、彼らにモノを売ることは、今まで以上に難しくなっている。

=つづく

外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。

■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。

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