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ノマドの窓~渡る世間はネタばかり~ 新幹線遅延…もしものために飲食物は常備を ちゃっちゃと買い求めた弁当を食べる私、おなかをすかせた人たちの視線がホラー

zakzak by夕刊フジ / 2024年9月11日 6時30分

刺すような目線を浴びながら弁当を食べた…(夕刊フジ)

こんなことになったら嫌だ、と心底から思うことがいくつもある。たとえば、<エレベーターに乗っている時に、地震や停電、ビルの火災報知機が鳴らされたとかでストップ>。これは想像するだけでも怖い。映画のシーンでもよくある、ガタン! と来て、ビビッと明かりがチラつき、無音になる、あれ。こういう事態に遭遇してしまった方は案外多いのかもしれないが、僕は幸い、生まれてこの方、そういう事態には遭ってない。

今は「非常の際はこのボタンで緊急連絡通話を」という対策が取られているから、早々に助けが来るんだと思うが、そもそもエレベーターという箱が動かないことが嫌だ。僕は閉所恐怖症なのである。閉じ込められることがとてつもなく恐ろしい。息苦しさというホラー。

加えて、もしもそんな時に尿意を催したらどうすればいいのか。考えるだけでパニくる。考えなければいいんだし、そんな時には尿意はどこかに吹き飛んでしまうのかもしれないが、考えてしまうではないか。実際、頻尿気味なのだ。

あるいは、(可能性は低いが)マンホールに落ちて細い筒の中を真っすぐに落ちてしまった、という状況。地上に向かって大声で「誰か~!」と何度も叫んでも、道路上はそこそこの雑音世界なので、僕の声など聞こえない…あぁ怖過ぎる。

もっと身近にある恐怖のひとつが、地震やゲリラ豪雨、あるいは強風で何かが飛んで引っ掛かったとかの理由で「新幹線が停車」というやつだ。遅延対応(スピードを落として走る)ならまだいい。止まったまま、それも何時間も…これはツラい。

実は私、過去に一度だけ、8時間ほど動かない車内に居たことがある。台風上陸にまつわる臨時停車だった。その頃はまだ車内販売があったので「あ、止まったな」とわかった時点ですぐに席を立ち、売り子さんのところに駆けつけて弁当と飲み物を買い求めた。

今から何時間停車するのかわからないのだ、まずは飲食物の確保だ。同じことを考える人は大勢いるので、それらはすぐに完売となる。となると次にはお土産物。「わさび漬けちょうだい!」という声が聞こえた。そう、ご当地名産の漬物だって、あれば腹の足しになる。

数時間後、のぞみ号はようやく動き、かなり遅れて品川に到着したのだが、一番恐ろしかったのは、ちゃっちゃと買い求めた弁当を食べる私を見る、おなかをすかせた人たちの目線…あれこそがホラーではなかったかと今でも思うのだ。

■東野ひろあき(ひがしの・ひろあき) 1959年大阪生まれ、東京在住。テレビ・ラジオの企画・構成(山寺宏一&野沢雅子のFM大阪「ニュー・ノーマル・ライフ」など)、舞台脚本(「12人のおかしな大阪人」など)や演出(松平健とコロッケ「エンタメ魂」など)、ライブ企画&プロデュース(キムラ緑子と大谷亮介の「ドリー&タニーライブ」など)、コメディ研究(著書『モンティ・パイソン関西風味』など)、他幅広く活動。猫とボブ・ディランをこよなく愛するノマド。

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