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岩田明子 さくらリポート トランプ次期政権が実質始動、各国首脳と面会や会談も 対米外交の立ち遅れ否定できない石破首相、安倍政権時代の知恵求めるべきだ

zakzak by夕刊フジ / 2024年12月4日 6時30分

ドナルド・トランプ次期米大統領が積極的に動き始めている。政権発足は来年1月だが、「実質的にスタートしている」と言っていい状況だ。各国首脳と会談を重ねたり、SNSでメッセージを発信したりして、米国の課題解決を図ろうとしている。

トランプ氏は11月25日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、カナダとメキシコに対し、米国への移民や医療用麻薬「フェンタニル」などの流入を止めなければ、両国から輸入する物品に25%の関税を課すと表明した。フェンタニルは、米国内での蔓延(まんえん)が社会問題化している。

その後、メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領と27日に電話会談を行い、カナダのジャスティン・トルドー首相とは29日、米南部フロリダ州の私邸「マールアラーゴ」で会談した。

トランプ氏は同日、「トルドー氏と非常に生産的な会談を行った」「トルドー氏は、米国民に対する恐ろしい惨劇(麻薬蔓延)を終わらせるため、協力を約束した」とSNSに投稿した。

トルドー氏もX(旧ツイッター)に、「再び一緒に仕事ができるのを楽しみにしている」とつづり、トランプ氏とほほ笑む写真をアップした。両氏は夕食をともにしながら3時間会談した。トルドー政権の閣僚やトランプ次期政権の閣僚予定者も同席した。

トランプ氏は11月30日、中国やロシアなど主要新興国「BRICS」による米ドル離れを図る動きに、「そんな国々は100%の関税に直面することになる。素晴らしい米国市場にさよならしてもらう」とSNSで警告した。

トランプ氏が最も警戒するのが中国だ。安全保障上の脅威に加え、貿易赤字が最も大きいからだ。先月25日、フェンタニルの密輸阻止を理由として、中国からのほぼ全ての輸入品に10%の追加関税を課すと発表した。

他方で中国は、日本に融和的な姿勢を見せ始めている。

11月30日には、観光やビジネスで訪中する日本人への短期滞在のビザ(査証)免除措置を約4年半ぶりに再開した。同じ対米貿易黒字国として「共同戦線」に日本を取り込もうとしているのか。中国が水面下で米国と協議している可能性を見据え、日本は外交方針を考えていかないといけない。

こうしたなか、石破茂首相の「外交力」が心配だ。

石破首相は、南米訪問に合わせたトランプ氏との早期面会が実現しなかったことについて、「現時点において、会談はいずれの国とも行わないという説明を(トランプ氏側から)受けている」と述べたが、トルドー氏やアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は会談を済ませている。

石破政権の対米外交の立ち遅れは否定できず、日本が取り残される恐れがある。トランプ氏との蜜月関係を、日本のためだけでなく、世界の共通利益のため活用した安倍晋三政権時代の外交の要諦や人脈などについて、経験者から知恵を求めるべきではないか。躊躇(ちゅうちょ)している時間はない。あらゆる手段を駆使してほしい。

■岩田明子(いわた・あきこ) ジャーナリスト・千葉大学客員教授、中京大学客員教授。千葉県出身。東大法学部を卒業後、1996年にNHKに入局。岡山放送局で事件担当。2000年から報道局政治部記者を経て解説主幹。永田町や霞が関、国際会議、首脳会談を20年以上取材。22年7月にNHKを早期退職し、テレビやラジオでニュース解説などを担当する。月刊誌などへの寄稿も多い。著書に『安倍晋三実録』(文芸春秋)。

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