日本製鉄「確トラ」で決断? 鉄鋼大手の宝山と合弁解消 日本企業〝脱中国〟加速、米国側に「親中企業では」警戒する声
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月24日 11時35分
日本製鉄は23日、中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄との合弁事業を解消すると発表した。中国の鋼材生産能力を7割削減し、米国やインドに経営資源を集中させる。日鉄は米鉄鋼大手USスチールの買収を進めており、対中強硬姿勢を示すドナルド・トランプ前大統領の返り咲きをにらんで中国と距離を置いたとの見方もある。日本企業の「脱中国」は一段と加速するのか。
山崎豊子さんの小説「大地の子」のモデル
日鉄は1978年の日中平和友好条約締結を受け、経済協力の象徴として中国側に技術提供した。最高指導者だった鄧小平氏は千葉県君津市にある新日本製鉄(現日鉄)の製鉄所を訪れ、「ぜひこれと同じ工場を中国に造ってもらいたい」と要求、85年に稼働した「上海宝山製鉄所」には日鉄の最新鋭の設備や技術が導入された。同製鉄所は山崎豊子さんの小説「大地の子」のモデルにもなった。
その後、宝山鋼鉄は合併を繰り返して巨大化し、グループの中国宝武鋼鉄集団の粗鋼生産は世界首位となった。
日鉄と宝山鋼鉄は2004年、欧州鉄鋼大手のアルセロールと自動車用鋼板を製造販売する合弁会社を設立したが、中国の自動車市場では電気自動車(EV)が台頭。日本の自動車メーカーは販売が苦戦しており、成長が見込めないと判断したことが合弁解消の理由としている。
評論家の宮崎正弘氏は「日鉄内部には自社の先端技術が中国側へ流出したことへの不満が鬱積していた」と話す。
トランプ政権で国務長官を務めたポンペオ氏を起用
日鉄関係者は、合弁解消は「USスチールの買収とは一切関係ない」とする。ただ、トランプ氏は、大統領に返り咲いた場合、買収を「即座に阻止する」と強調している。日鉄はトランプ政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏を助言役に起用するなど「トランプ・シフト」を進めている。
このところ、キリンホールディングスやAGC、パナソニックホールディングス、三菱自動車、ブリヂストン、住友化学などが中国事業からの撤退や縮小を発表している。
経済安全保障アナリストの平井宏治氏は「米国側には宝武鋼鉄集団との協力関係を続けてきた日鉄を『〝親中企業〟ではないか』と警戒する声もあり、日鉄側は懸念を払拭する必要があったのではないか。中国も国策でEVの国産化を進めるなか、現地へ進出していた日本の自動車企業にとっては、痛みも伴うが、脱中国化は加速するだろう。軍事面にも関わるハイテク鋼材など先端技術をめぐっては今後、日本企業も米国側に付くのか中国側に付くのか、旗幟(きし)を鮮明にすることが求められる」と指摘した。
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