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列島エイリアンズ 外国人転売ヤー対策編(2)人気ブランドのゲリラ販売もほぼ効果なし SNSへの投稿1本で1000人動員、30分後には現場に「買い子」が

zakzak by夕刊フジ / 2024年11月20日 11時0分

転売ヤー 闇の経済学(夕刊フジ)

国内非居住者が対象商品を購入する場合、消費税分の10%を差し引いた金額で購入することができる「消費税免税制度」。政府はこれを見直し、出国時に消費税を払い戻すリファンド方式の新制度に移行するという。外国人転売ヤーによる制度の悪用が多発していることを受けての措置だ。

外国人グループを中心とする組織的で大規模な転売行為には、販売側もさまざまな対策を講じている。

代表的なのが、購入個数制限だ。「おひとり様1点限り」などと限定し、転売ヤーによる買い占め行為を防止する方法だ。ソニーのゲーム機、プレイステーション5の販売などでも家電量販店などが採用していたようにクレジットカードや会員アプリなどで過去の購入歴まで確認するというものもある。

類似の対策として「購入券」や「整理券」を抽選で配布し、当選者のみに販売する「事前抽選制」もある。

しかし、これらはいずれも、組織的転売ヤーへの対策としてはほとんど意味をなさない。彼らは、SNSへの投稿1本で100人単位の「並び屋」や「買い子」を動員することが可能なのである。極端に言えば、「おひとり様1点限り」の商品でも、1000点買い付けようと思えば、1000人の買い子を動員するだけの話だ。事前抽選制が採用されている商品についても、彼らは大量の応募要員を動員することで、必要な数の購入券や整理券を獲得してしまう。

人気ブランドの限定商品などで、しばしば行われているゲリラ販売。告知を直前に行ったり、全く行わなかったりすることで、転売ヤーが嗅ぎつける前に真のファンだけに商品を提供しようという手である。

これも直前の告知や第三者によるSNSへの投稿があれば、転売ヤーたちはそれをすぐに察知する。彼らはクローリング(巡回型の情報取集)やスクレイピング(必要な部分を抽出しデータを汎用的な形式にすること)といった自動情報技術も駆使し、ネットの海を行き交う情報に常に目を光らせている。ゲリラ販売を検知すれば、30分後には現場に買い子を走らせられる機動力を擁している。

売り手側の先の対策は、転売ヤーの買い付けコストをいくらか増大させることは確かであり、一定の抑止効果にはつながってはいる。だからといって転売ヤーの利益はほとんど減らない。その理由については次回(26日発行)の当欄でお伝えしたい。 =つづく

外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。

■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。新著「転売ヤー 闇の経済学」(新潮社)=写真=が話題。

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