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岩田明子 さくらリポート 対米外交は「クリスマスプレゼントと同じ」トランプ氏かハリス氏か…どちらが大統領でも対応、自民総裁選は「変幻自在」が重要要素に

zakzak by夕刊フジ / 2024年7月31日 6時30分

ホワイトハウスの新たな主は誰になるのか(AP)(夕刊フジ)

「クリスマスプレゼントと同じだ」

日本の対米外交について、外務省ではそう例える人が多い。どんなプレゼントをもらったとしても、「私はそれが欲しかったんだ」とニッコリする。つまり、日本政府としてどんな事態でも強固な同盟関係を維持すべきという意味だ。

11月の米大統領選は、まさにそんな状況となってきた。

高齢不安から民主党内で「撤退圧力」が強まっていたジョー・バイデン大統領が先週、出馬を取りやめてカマラ・ハリス副大統領が立候補を表明した。党内に強い影響力を持つナンシー・ペロシ元下院議長や、バラク・オバマ元大統領もハリス氏支持を明らかにし、挙党態勢が構築されつつある。

一部の世論調査では、ハリス氏が、共和党の大統領候補となったドナルド・トランプ前大統領を上回る支持率を得ている。トランプ陣営としては、ハリス氏に好意的な報道や世論調査結果が出る「ハネムーン期間」が、民主党全国大会(8月19~22日)が開かれる来月中下旬ごろまで続くものの、実質的な選挙戦の基礎的条件に変化はないとみているようだ。

こうした動きからすると、現在はハリス氏の勢いが強まっているようだが、ハネムーン期間終了後は、どちらに転んでもおかしくないという情勢になる可能性もある。

だからこそ、日本外交は、トランプ氏、ハリス氏のどちらが大統領になっても対応できる態勢を整えておく必要がある。

トランプ氏が勝った場合、劇的変化が予想される。ロシアによるウクライナ侵攻は、西側諸国にとって望ましくないかたちで早期決着が図られる可能性があり、多国間外交を嫌うトランプ氏は各国に個別でディール(取引)を仕掛けてくるだろう。日本にも貿易交渉や防衛費負担で要求を強めてくる可能性がある

自民総裁選は「変幻自在な外交力」が重要要素に

ハリス氏が勝利したとしても、単純にバイデン政権の延長線上にあると判断するのは早計だ。上院議員を30年以上、オバマ政権で副大統領を務めたバイデン氏に比べると、ハリス氏の政治キャリアは短い。日米共通の利益を共有し、強固な日米同盟を維持できるのかという部分が課題になるだろう。米大統領選の行方が見通せないからこそ、9月の自民党総裁選の重要性が増している。新総裁が首相として、新たな米大統領と相対する可能性が高いからだ。

トランプ氏との蜜月関係がよく知られる安倍晋三元首相は、オバマ氏とも良好な関係を築いていた。

ビジネスライクな面が目立つオバマ氏とも人間関係をしっかりと構築し、安倍氏は2015年4月、日本の首相として初めて米上下両院合同会議で演説した。16年5月には、オバマ氏による現職米大統領として初めての被爆地・広島訪問を実現し、同年12月には米ハワイ・真珠湾をオバマ氏とともに訪れた。安倍氏の米議会演説のタイトルにもなった「希望の同盟」というレベルにまで日米関係を引き上げたのは、オバマ政権時代だった。

日本の首相には、誰が米大統領になっても良好な関係を築く能力が必要だ。その意味で、自民党総裁選では、「変幻自在な外交力を持つ候補は誰か」という視点が重要要素として欠かせないだろう。

■岩田明子(いわた・あきこ) ジャーナリスト・千葉大学客員教授、中京大学客員教授。千葉県出身。東大法学部を卒業後、1996年にNHKに入局。岡山放送局で事件担当。2000年から報道局政治部記者を経て解説主幹。永田町や霞が関、国際会議、首脳会談を20年以上取材。22年7月にNHKを早期退職し、テレビやラジオでニュース解説などを担当する。月刊誌などへの寄稿も多い。著書に『安倍晋三実録』(文芸春秋)。

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