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列島エイリアンズ ツーリスト・トラップ編(3)大阪・ミナミ黒門市場に落胆する訪日客 ボッタクリ、質の低下「ここには近づくな」の投稿

zakzak by夕刊フジ / 2024年6月26日 6時30分

外国人客でにぎわう黒門市場=大阪市中央区(夕刊フジ)

日本の観光スポットに関する英語の口コミに頻出するようになった「ツーリスト・トラップ」という言葉には、インバウンド誘致を目的とした安直なおもてなしに対する訪日外国人の辟易が込められていた。そんな彼らが魅力を感じているのは、再現された江戸の街並みや忍者ショーではなく、生活感あふれる商店街や地方のお祭りといった「リアル&カジュアル」なスポットや体験だ。

ところが、リアル&カジュアルだったスポットが、訪日外国人から注目を集めた結果、ツーリスト・トラップに成り下がるという皮肉な事態も起き始めている。

<ここには近づくな。2019年に訪れた時とは変わってしまっていた。多くの店は中国人が経営していて、日本人で買い物をしている人はほとんどいない>

<YouTubeで取り上げられているのを見て食事に出かけた。トロの握りに28ドル(※約4424円、1ドル=158円で計算)払ったが、最悪だった。ロサンゼルスのスーパーマーケットで買った方がマシだ。イカの唐揚げも買ったが、何口か食べてゴミ箱に放り投げた。8ドルをドブに捨てた>(※は報道部注)

これは、旅行レビューサイト「トリップアドバイザー」に寄せられた大阪・ミナミの黒門市場に関する英語による投稿である。

大正時代から、料理人が食材の仕入れに訪れる市場として食い倒れの街を支えてきた黒門市場だったが、訪日ブームが始まった2010年代中頃からは、「食べ歩きが楽しめるスポット」として外国人にも注目されるようになっていった。

市場の客層が変化するなか、地元客から訪日外国人にターゲットを変える店も現れた。その後、新型コロナウイルスのパンデミックを経て、訪日ブームが再燃し始めた今、同地での訪日外国人をカモにしたぼったくりの横行がさかんに報道されている。

何気ない日本の日常に訪日外国人が殺到した結果、彼らの財布を目当てにした商売がはびこり、やがてツーリスト・トラップに認定され、最後には誰からも見向きもされなくなる。そんなオーバーツーリズムの負のスパイラルは、今後も日本各地で起きることだろう。

=この項おわり

外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。

■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。

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