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年金世代・予備軍「シニアの居場所」 70歳を超えて旅館の接客係に採用された 「若い社員の見本に」企業側によるスキルの正当評価、業務の細分化がカギ

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月3日 15時30分

大野正樹さん(夕刊フジ)

年金世代の多くが「70歳を超えても働きたい」と考えているようです。今年9月のリクルートの報道発表では、「65―69歳の8割以上が70歳以降も働きたい」と回答していることが示されました。

そこで今回は、70歳を超えても仕事を続けている人の実際の声を聞いてみます。

名越一久さん(74)は73歳のとき、神奈川・箱根の温泉旅館グループ「一の湯」の募集に応募して採用されました。現在は、仙石原にある「ススキの原 一の湯」の接客ホールスタッフとして、週4―5日、午前7時から11時までの早朝勤務をしています。

名越さんは若いときからホテルを中心に接客の仕事を続けてきましたが、今回の応募はさすがに不安だったそうです。

「ホテル業界はどうしても若い人を採ります。落ちる覚悟でした」

名越さんの心配は杞憂(きゆう)でした。一の湯の店舗運営本部長、大野正樹さんによると、名越さんは顧客からの評価を手当てとして還元する同社の「接客評価手当制度」でトップを獲得し続けているとのことです。

「名越さんが培ってきた接客スキルは若い社員の見本になっています。シニアも積極的に面接しますので、接客業の経験がある人はもちろん、チームワークを大切にして働ける人は、ぜひ応募してほしいですね」(大野さん)

名越さんにとっても、現在の働き方のペースは合っているようです。

「体力的なこともありますので、長い時間より、集中して午前中に働く方が私には働きやすいです」

収入も気になりますが、名越さんの場合、月額10万円から15万円の給与を得ているそうです。

「年金も受け取っていますが、やはりそれだけでは心もとないです。現在いただいている給与と合わせて、ちょうどいいぐらいですね。シニア世代になっても意欲を持って積極的に動いた方がいいですよ」

大野さんは、「名越さんにはまだまだ働いていただきたい」と語り、名越さんも「できるだけ会社に恩返ししたい」と話しています。こうしたシニアと企業の〝良い関係〟について、シニア採用に詳しいリクルートジョブズリサーチセンターの宇佐川邦子センター長は、次のように語ります。

「一の湯さんのように、シニアのスキルを正しく理解したうえで、成果を可視化し、適切な評価やフィードバックを行う企業では、シニアが高いモチベーションを持って活躍できます。しかし、シニアの活躍の場は、まだ十分とは言えません。シニア世代は短時間や限られた日数での勤務を希望する人が多い。企業側が業務を細分化し、小口の仕事を提供することが、シニア活躍の第一歩ではないでしょうか」

■藤木俊明 副業評論家。自分のペースで働き、適正な報酬と社会とのつながりを得ることで心身の健康を目指す「複業」を推奨。著書に『複業のはじめ方』(同文舘出版)など。

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