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わが社の「健康経営」 健康経営アライアンス(1)経営的視点で従業員の健康管理を戦略的に実践 産業界が直面する課題に業界を越えて企業が連携

zakzak by夕刊フジ / 2024年10月2日 15時30分

企業の連携で問題を解決=「健康経営アライアンス」のホームページから(夕刊フジ)

超高齢社会の日本では、高齢者医療制度への拠出金が増え、現役世代の負担が大きくなっている。昨今の物価高に加えて健康保険料も上昇。企業の健康保険組合で赤字が深刻化しているところは多い。この状況の打開策はないのか。個人ではどうにもならないことから、国もアタマを悩ましている。ならば、と立ち上がったのが産業界の組織「健康経営アライアンス」である。

【長期ビジョン掲げるオムロン】

この組織の発起人はオムロンとJMDCだ。産業界が直面する「社員の健康増進」「健康保険組合の財政の健全化」「医療費抑制の貢献」といった課題に対し、業界を越えて企業が連携することで問題解決に取り組む。

「オムロンは長期ビジョンの中で、<健康寿命の延伸>を掲げています。従業員は人的資本で会社の財産です。定期健康診断で異常が見つかれば、きちんと治療を受ける。この地道な取り組みは、1社ではなく全ての企業において必要なことです。他企業と連携することで波及効果が期待できます」と、オムロン執行役員常務の石原英貴氏は説明する。

健康診断でわかる疾患のひとつは、高血圧による動脈硬化の進展。放置して、心筋梗塞や脳卒中を発症することが循環器疾患のイベント(=有害な事象)につながりかねない。社員が不健康ならば、生産性は下がり医療費もかかる。定年退職後に心筋梗塞や脳卒中で重篤な事態を招くと、健康保険組合の高齢者医療への負担が重くなる。

【家庭血圧測定器を開発した理由】

つまり、現役世代の健康増進への取り組みが、産業界が直面する問題解決の糸口になるのだ。もちろん、働く人も健康的な生活が送れるならば、それに越したことはないだろう。

「オムロン創業者の立石一真は、オートメーションも、人体も同じという考えを持っていました。情報収集してコントロールすることで不具合を防ぐ。そのために家庭血圧測定器を開発したのです」(石原氏)

しかしながら、現実に目を向けると、個人的な健康管理については、積極的な人とそうでない人がいる。企業の定期健康診断で異常値が出ても、受診勧奨されなければ見なかったことにする人もいる。そうした状況を打開すべく、各企業が健康経営に取り組む中で、いろいろな課題が浮かび上がってきたという。

「大企業では、定期健康診断やストレスチェックなどのデータを活用できます。にもかかわらず、個人情報であるだけに、どう取り扱い、社員の健康のためにどう生かせばよいかが問題になります。そういった諸問題は知恵を出し合いながら解決します」(石原氏)

健康経営アライアンスの会員企業・団体は、設立から約1年で400を超えた。多くの知恵とノウハウを結集して現在も課題解決に向けて進行中だ。 (取材・安達純子) =火曜日掲載

■健康経営アライアンス

「社員の健康をつうじた日本企業の活性化と健保の持続可能性の実現」を目指す組織。2023年6月設立。代表幹事企業は9社(味の素株式会社、SCSK株式会社、オムロン株式会社、キリンホールディングス株式会社、株式会社島津製作所、株式会社JMDC、日本生命保険相互会社、株式会社野村総合研究所、株式会社三井住友銀行)。会員企業・団体416(2024年7月30日時点)

【健康経営とは】従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践すること。従業員の健康が生産性や企業価値の向上につながり、就活や転職先企業の指標にも。

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