肉道場入門! 「松屋」期間限定メニュー「ごろごろチキンのバターチキンカレー」が今年も非常にいいデキ まずは一度お試しあれ
zakzak by夕刊フジ / 2024年10月8日 6時30分
絶品必食編
記憶の味とは恐ろしいもので、チェーンの牛丼が食べたくなったら吉野家一択である。
もっともその他のメニューとなると、定食からカレーに至るまで松屋の圧勝と言っていい。
つい最近の期間限定メニューについても、その印象は変わらない…というか、差が広がった気さえする。
9月24日から松屋で何度目かの販売が始まった「ごろごろチキンのバターチキンカレー」のデキが今年は非常にいい。
いや毎年デキはいいのだ。カレーソースはきちんと辛く、色気に走って余計なスパイスを過剰に加えるでなく、バターと生クリームが香り、たっぷりトマトで酸味とさわやかなコクが加えられている。
数年前から展開されているからか、味の骨格は変わらない。
カレーソースはバターの甘やかな香りとトマトの味が強いので、これはパンにも合わせたくなる。
それでいて米との相性もいい。バターの味わいが強いので、炊いた白飯と一緒に食べるだけで、油脂でマスキングされて米が勝手にバターライスのような味わいになる。
さらに主役であるごろごろチキンとくし切りの玉ねぎがどうしようもなくごはんに合う。
チキンは鉄板で皮目をきっちり焼き、返したらフタをして柔らかく蒸し焼きに仕上げる。
1人前に鶏もも肉が1枚分。200グラムはあろうかという鶏肉が文字通り、ごろごろ入っている。看板に偽りなしである。
僕の行動半径にある、近隣の店舗でこのごろごろチキンの焼き加減が実にいい。きっちり火が入っているのに硬くなく、少し粘度のあるソースや少しだけモソッとした米との食感の相性もなかなかい。
年によって消えたり復活したりしていた、くし切りの玉ねぎは、本年は採用されていたが、これもまた米との相性がいい。
ごろごろの骨なしチキンとシャキシャキ玉ねぎが入ると、なぜか日本のカレーとして着地する。どちらも全世界で愛される食材なのに不思議なものだ。
ノスタルジーのなせる業か、日本人が敏感に感じ取る旨味のせいか。いずれにしても今年の期間限定も売り切りじまい。まずは一度、お試しあれ。 (火曜日掲載)
■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しい。新著「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社刊)発売中。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。
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