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杉山大志 再エネ利権を一掃せよ 「電力コスト」より「電気代」を指標にせよ GX実行なら高騰間違いなし 電気代の定義を捻じ曲げて国民を欺く日本政府

zakzak by夕刊フジ / 2024年8月10日 10時0分

東京電力の「電気ご使用量のお知らせ」。再エネ賦課金が含まれている(一部画像処理しています)(夕刊フジ)

第7次エネルギー基本計画の、政府検討が始まっている。

だが、あきれたことに、グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議の下に、エネルギー基本計画を置いている。つまり、「脱炭素」を「エネルギーの安定・安価な供給」よりも優先するわけだ。そして、脱炭素さえすれば、安全保障と経済成長も同時に達成されるというファンタジーをつづっている。

では、電気代は一体どうなるのかと言えば、政府は政策達成の「指標」として「電力コスト」を提示している。

この「電力コストとは何か」と、その定義を見ると、「(発電の)燃料費+再生可能エネルギー全量買取制度(FIT)における再エネ買取費」となっている。なんだこれは?

常識的には、電力コストと言えば国民の支払う電気代のことで、これを下げることが日本政府の何よりの使命のはずだ。

だが、政府資料を見ると、この日本政府の定義する「電力コスト」には入らないコスト項目がたくさん並んでいる。

・再エネ大量導入のための送電線費用

・再エネ大量導入のためのバッテリー導入費用

・水素やアンモニア導入のための費用

・CCS導入(二酸化炭素を分離・回収し、地中などに貯留する技術)のための費用

・省エネ補助金のための費用

・電気自動車導入のための費用

・GX債償還のための課徴金

・GX債償還のための排出権購入費用

本当の再エネの費用はFIT買取費だけではない。特に、再エネを大量導入するとなると、そのための送電線やらバッテリーやらのために膨大な費用がかかる。

政府の奇妙な「電力コスト」の定義だと、FIT買取費用と化石燃料の燃料費の合計だけを減らせば電気代が下がるかのように錯覚しがちだが、現実はまったく違うのだ。

この日本の「GX」を実行すれば、電気代が高騰することは間違いない。この事実を政府は隠している。そのための道具がこの「電力コスト」というエセ指標だ。

日本の電気代は、2010年以降、高騰を続けている。

筆者らは「非政府エネルギー基本計画」(https://www.7ene.jp/)において、電気代を指標として、10年水準(キロワットアワー当たり産業用14円、家庭用21円)に戻すという目標を政策提言している。

政府は欺瞞(ぎまん)に満ちた「電力コスト」なる指標を撤回し、「電気代」を指標に据えるべきだ。そのうえで、電気代をいくらまで下げるのか、数値目標を立てるべきだ。

■杉山大志(すぎやま・たいし) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。1969年、北海道生まれ。東京大学理学部物理学科卒、同大学院物理工学修士。電力中央研究所、国際応用システム解析研究所などを経て現職。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、産業構造審議会、省エネルギー基準部会、NEDO技術委員などのメンバーを務める。産経新聞「正論」欄執筆メンバー。著書・共著に『「脱炭素」は嘘だらけ』(産経新聞出版)、『亡国のエコ』(ワニブックス)、『SDGsエコバブルの終焉』(宝島社新書)など。

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