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お金は知っている 「トランプ高関税砲」で円安加速の恐れ 是正のために継続的な利上げは無理筋、止めるには大規模な米国債売りが必須

zakzak by夕刊フジ / 2025年1月17日 6時30分

(夕刊フジ)

20日に米国でトランプ第2次政権が発足する。最大の焦点は、高関税の「トランプ砲」である。主な標的は中国のはずだが、日本にとって無風では済まない。円安加速の恐れがあるからだ。

トランプ氏は第1期政権時代の2018年7月から9月にかけ、中国に対して矢継ぎ早に1万品目以上の品目について高関税を適用した。昨年の大統領選でトランプ氏は中国に対し一律60%、日本を含む他の国々には同10%の追加関税を課すと表明した。「タリフマン(関税男)」を自称し、関税障壁撤廃でこそ、各国は共栄できるという戦後世界の通念、グローバル自由貿易体制にトランプ氏は背を向ける。高関税政策によって米国が豊かになれると信じ、高関税を中国など貿易相手国の譲歩を引き出す取引手段としてばかりでなく、政府の主要財源として位置づける。

米国は世界最大の輸入国であり、2023年の対世界輸入シェアは13%に上る。輸入は国内総生産(GDP)の11%以上、米個人消費の約17%を占める。高関税は世界貿易や経済の波乱要因になるばかりでなく、米国の物価を押し上げるとの見方が多い。インフレ率が上昇するとの見通しが広がれば、ドル金利が上昇していく。もとより、ドルは世界の基軸通貨であり、金利が上がれば、ドルの金融商品が買われドル高が進むことになる。ドル高の分だけ、関税による物価上昇圧力は和らぐ効果がある。

では、その他の世界、特に日本に対する衝撃はどうか。グラフは米国の長期金利とドル相場の推移である。ドル相場については、貿易シェアを基準に各国通貨相場を加重平均した相場(2006年1月時点=1ドル当たり100)と、円の対ドル相場に分けてみた。すると、一目瞭然、2022年以降の米金利上昇に対し、ドルは全通貨に対し強くなっているが、その勾配はかなりなだらかである。対照的に、円のほうはまさに米金利上昇に引きずられて対ドルで下落し続けている。この調子だと、金利上昇が続く限り、円安は止まらないことになり、下手すると、トランプ高関税砲の最大の被害を受ける通貨は円ということになりかねない。

身構えるのは日銀だ。23、24日の金融政策決定会合で追加利上げを検討するが、日米の政策金利差は4・3%もある中で、一回きりの0・25~0・5%程度の利上げで円安是正は無理だ。だからと言って、年内を通じて継続的に追加利上げすれば、中小・零細事業者は借入金利負担増、勤労者は変動型住宅ローン金利上昇に苦しむ羽目になる。

実質家計消費はいまだに消費税率10%引き上げ前を下回る。円安よりも内需不足のほうが日本経済にとって優先すべき懸案であり、利上げには無理がある。どうしても円安を止めたければ、米国債売りを伴う大規模な為替介入しかないが、米金融当局は米国債最大保有国日本の米国債売りに反発する。日本の財務官僚は腰が引ける。ならば石破茂政権の出番ではないか。 (産経新聞特別記者)

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