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久住昌之 するりベント酒 富山はやっぱり…とろろ昆布でめしと酒! 「孤独のグルメ」にも出た銘店居酒屋「舞子」の海の幸は言葉にならぬ旨さ

zakzak by夕刊フジ / 2024年12月15日 10時0分

(夕刊フジ)

富山に行った。新幹線で富山駅に着いた時、小腹が減っていたので(東京から出発ギリギリに乗った新幹線の中ではずっと原稿を書いていた)、駅構内にある「おむすび屋 源」で、おにぎりと酒を買った。

富山といえば昆布、そしてとろろ昆布だ。

「白とろろおにぎり」と「黒とろろおにぎり」があったので、珍しいから両方買う。この店では同じく富山名物のます寿司がメインのようだが、ボクはそれよりとろろが食べたい。

そして同じ店で富山の地酒「玉旭」の一合缶(直ちに呑みたいわけではなかったが、この連載のために、酒を買うのを忘れない)。

宿までタクシーで行くつもりだったが、急に思いついて市電に乗っていくことにした。富山は市電がすごく元気だ。待っていればどんどん来る。いかにもレトロな古い車両や、派手な広告電車や、最新のスタイリッシュな車両が混じっていて、楽しい。どうせならと一番古いのに乗った。ライトが正面に一個で、これがかわいい。しかも降車を知らせるボタンが小さくてレトロ、降りる時押したらブザー音でなく「チ~ン」とアナログな音がしたので嬉しくなる。

さてホテルについて、手を洗って、すぐおにぎりを開ける。黒とろろ。と言っても昆布の色が濃いだけで、黒いわけではない。

ビニールの包装を取ると、おにぎりの表面にふんわりケバケバ、びっしり均一にとろろ昆布がついていて、見た目が美しい。これはうまそうだ。

パクリとてっぺんにかぶりつく。

お。意外。中に褐色の細切り昆布の佃煮が入っていた。それもまたよし。うーん、とろろ昆布の香りがいい。口の中がほんのりねっとりしてくる。旨味成分が米と混じって、おいしい。部屋にあった無料のミネラルウォーターを飲む。酒は夜だ。

おにぎり、ちょうどいい軽さ。と言うのは今夜は「孤独のグルメ」にも出た銘店居酒屋「舞子」を予約しているのだ。ここでうまいものをたくさん食べる予定。仕事は明日。

小腹が満たされたので、最上階の大浴場に行く。おお、浴室の大きなガラス窓から雪を被った立山連峰が一望・・・できない。今日は雲が多く、半望というところだった。でも雲越しの夕陽がきれい。

小腹も満たし、ひと風呂浴びて、もう万全。宿から歩いて舞子に向かう。今日が4回目。ここは富山湾の海産物を中心に、本当に何を食べてもおいしい。まずはビールで風呂上がりの喉を潤す。ウマイっ。

セイコガニがまず最高で、早々と日本酒に切り替える。今回は、目の前で女将が捌いた氷見の寒ぶりが最高に旨かった。こんなにおいしいブリ刺は初めてかもしれない。いや初めてだ。

白エビの刺身も素晴らしかった。アオリイカもねっとり旨かった。白子の昆布焼きがもう・・・。言葉にならぬ。

そう言うわけでうまい肴でうまい酒を呑んで、げんげ(深海魚)の汁で締めた。

いい気持ちで歩いて宿に帰る。酔い覚ましにいい。

そして、寝巻きに着替えて、冷蔵庫で冷やしておいた玉旭をカシュっと開け、白とろろのおむすびだ。これが本日のごはん。二度締めのベント酒。

驚いたことに、おにぎりの中に梅干しが入っていた。これがこのタイミングでうまい!あとは歯を磨いてベッドで夢の中だ。富山はいいとこだなぁ。

(マンガ家、ミュージシャン 久住昌之)

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