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ジャンボ尾崎 イン・ドリームランド 笹生優花を一流に育てたジャンボ尾崎の一喝「頭と身体を使え」 ウェッジでの低い球を打つ練習を徹底

zakzak by夕刊フジ / 2024年12月12日 15時30分

尾崎将司(夕刊フジ)

晩年尾崎が立ち上げた「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」では多くの優秀な若手ゴルファーが育っている。その中で見事に大輪の花を咲かせた一人に笹生優花(23)がいる。笹生はご存じ、2021、24年と世界最高峰の全米女子オープンに2度優勝の快挙を達成して世界の頂点に昇りつめた。

笹生は19年に日本の女子プロテストを受験して合格。そしてすぐさまジャンボ尾崎ゴルフアカデミーで尾崎の指導を受けることになった。

テスト合格後練習環境に苦慮していた笹生は、尾崎という最高の指導者と、最高の練習環境を得て〝水を得た魚〟のように活き活きとし、またたくうちに腕を上げた。

20年には、NEC軽井沢、ニトリレディスと2週連続で優勝、一躍脚光を浴び、その勢いのまま2度の全米女子オープン優勝へと世界の檜舞台に駆け上っていった。

実はこの華麗な優勝劇の裏に師匠尾崎との知られざる秘話があった。

まず技術面。尾崎に弟子入りした頃、笹生は力任せに振り回し、ボールは飛ぶが、コンロトールに苦労していた。そんな笹生に尾崎が珍しく強い口調で諭した。

「そんな一辺倒な打ち方じゃあ、いろんな状況に対応する球筋を身につけることは出来ないぞ。もっと頭と身体を使え」と一喝。以後尾崎の指導でウェッジでの低い球を打つ練習を徹底させた。

これは野球の一流投手が、低めの速いストレートボールを基本に様々な球種を投げ分ける理論と共通している。プロ野球出身の尾崎ならではの指導だった。

従来のゴルフ理論にはない指導と練習で笹生の球筋の幅は広がり、これが難コースでの全米女子オープンに見事に生きた。

もう一つは、こうした練習の合間に、笹生はクラブの調整で、前回紹介したフィッティングの小屋に足を運んだときのことだった。そこで見つけた1本のドライバーに衝撃を受けた。

威風堂々としたそのクラブは、後年尾崎が自分の経験と知識を傾けて調整した愛用品。シャフトはXに近いSで、ロフト9度のオープンフェース。並みの女子プロでは使いこなせない代物だ。笹生は尾崎の了解を得て練習場で試打してみた。そして1球打った直後に次の言葉を発した。

「こんな魔法のようなクラブがあったら私の夢が叶えられる?!」

師匠尾崎はその言葉を聞いてすぐにそのドライバーを譲り渡した。そしてそのクラブで1回目の全米女子オープンに優勝。笹生はクラブメーカーと契約してもこのスペックを使い続けている。

特訓と、魔法のドライバーはもしかして神様が笹生に贈った最高のプレゼントだったのかもしれない。 (ゴルフジャーナリスト・宮崎紘一)=敬称略

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